中野植物園

中野植物園は110年を超える歴史を持つ私設植物園だ。小樽駅からバスに揺られて20分程、清水町の住宅街にそれは突然現れる。

2015年に北の造園遺跡に認定されるなど、高い評価を受けているこの植物園だが、訪れる人は1日平均約3人と、あまり知られていない。小樽には、このように素敵だが知名度の低い場所が多く存在するように思う。

ある秋、私は友人と共にこの植物園に訪れた。どこか懐かしい門を潜り抜けて少し歩けば、タイムスリップしたかと錯覚するような光景が広がっている。
植物だけでなく、遊具があることに少し驚いたが、たっぷりと鮮やかなペンキを塗られた遊具は、この植物園に妖しげな魅力を作り出していた。

管理人さんによると、中野植物園は人々が集まって楽しめる場所を作ることを目的に作られたそうだ。そのため、多くの遊具があり、ジンギスカン用の道具も貸し出してくれる不思議な植物園ができたのだろう。

滑り降りた先に固いコンクリートが待ち受ける急な滑り台。水平に回転するシーソーのような遊具。謎の赤い堀跡が残る石碑。少し奇妙なものを発見しては笑いながら、私達は園内を歩き回った。

少しブランコで休憩していると、せっかくだから源山に登ろうという話になった。150mと小さな山だからインドア派の私達でも簡単に登れると思ったのだ。しかし、しばらくして私達はその考えを改めることになる。

足元のごつごつとした岩。急な斜面。ただでさえ、園内の坂を上り疲れていた私達にとって、それは楽なものではなかった。

へとへとになりながら、たどり着いた頂上にあったのは観音像。達成感を感じながら後ろを振り返れば、雲ひとつない真っ青な空と赤や黄色、緑に染まった木々が目に入った。色鮮やかなその景色は、思わず息を呑むほど美しかった。

小樽には知る人ぞ知る、素敵な場所が多く存在する。時間があるときには観光ルートから少し離れて、散策してみてはどうだろうか。

(ハルカ)


※本記事の内容は2021年7月時点の情報に基づいたものです。

写真:眞柄 利香