様々な顔を魅せる海

小樽といえばオルゴール堂などの地上にある有名な観光地は耳にしたことがあるだろう。
ところで、朝から夜までさわやかな海風と絶景が広がる海を、小樽で楽しめることは知っているだろうか。

小樽から覗く広大な海には、小樽築港駅や祝津などの様々な港や,個人が所有している船が停泊しているマリーナから、また小樽運河から出航している観光船に乗っても行くことができる。

私の父は、小樽築港駅から程近い小樽マリーナに自身の船を所有しており、休日はよく小樽の海に釣りに出かけている。私も小学生の頃は、朝早く父と一緒に家を出て、よく釣りに行った。

朝方はまだ出航している船も少なく、静かで穏やかな海を朝日と共に楽しむことができる。

港を出て沖まで進むと、よく野生のイルカの群れに出会った。
彼らは人懐っこく、「キュー、キュー」と鳴き船の近くで元気に飛び跳ねてくれた。
朝日を背中に、跳ねて、水しぶきがあがる姿を、最後に見たのは何年前だったか…もう覚えてないけれど、その光景は一生忘れないだろう。

昼が近づくと、父はよく、青の洞窟と呼ばれるところに船で連れて行ってくれた。小樽青の洞窟は、ニセコ積丹小樽海岸国定公園に位置する、人の手が加わっていない自然の力によって創られた洞窟だ。

洞窟内に差し込む自然光の効果で、海面が青色に輝いて見える。海水の侵食で形成された特異な地形、海底からの反射度など、様々な条件が整う場所でのみ見ることができる神秘的な光景である。

この洞窟を初めて訪れたとき、ありきたりな表現だが、言葉が出なかった。
洞窟の外は日差しを遮るものは無く、太陽が燦燦と輝いているのと対照的に、洞窟内には限られた日光しか入ってきておらず、日光が透きとおった水面に反射する光景は、神秘的以外のなにものでもない。

そして夜。港の向こうでキラキラと明かりがついたマンションやビル、観覧車を、夜の海は幻想的に映し出す。涼しい海風を肌に感じながら見る景色は格別である。

夏、小樽で潮祭りが開催されている時期は、夜花火が打ちあがる。「ヒュルヒュルヒューッドーン!!」と夜空に輝く花を、海から見上げることができる。

このように、一日中楽しむことができ、いろいろな顔を見せる小樽の海。あなたにはどのような顔を見せるのだろうか。

(RIN)


※本記事の内容は2021年7月時点の情報に基づいたものです。

写真:眞柄 利香