小樽の思い出の品

小樽と聞いて真っ先に僕が思い浮かべるものはガラス細工だ。

僕は生まれも育ちも札幌で、数える程しか小樽に立ち寄ったことはない。その数少ない経験の中で、ガラス細工は最も印象深いものだ。

一度、修学旅行で小樽に行ったことがある。その時は、小樽といえばオルゴールだという漠然としたイメージを持っており、家族へのお土産としてオルゴールを買うつもりだった。
しかし、オルゴールの値段は高く、当時小学生であった僕にはとても手を出せるような値段ではなかった。

そんな折に見つけたのが、小さなガラス製のブタの置物だった。そのガラスのブタには、暖かみのあるかわいらしさがあり、ひときわ僕の目を引いた。
幸い手の届く値段で、購入することができた。家族にプレゼントして、とても喜んでもらうことができた。そのため、僕の中で旅の思い出として強く残っている。

何の縁か小樽の大学に通うことになった。小さな頃に小樽に来た思い出を懐かしく感じて、思い出のガラス細工を再び見に行ってみた。

ブタのガラス細工を買ったお店は当時のまま残っており、小学生の時に友達たちと小樽市内を散策したことを思い返すことができた。また、北海道ならではのかわいらしいシマエナガのガラス細工があり、とても癒されて、小樽での新たな楽しい思い出ができた。

小樽のガラスには古い歴史があり、あらゆる世代の人にとってなじみ深いものだ。
その透明なガラスは、様々な色彩に染まることができ、人々の思い出を保存しておくことができる。暖かな光をたたえたガラスを見ていると、心穏やかになり時間がゆっくりと進んでいく。

小樽のどこか安心する穏やかな雰囲気の一部を形づくっているのは、このガラスなのかもしれない。
小樽のガラスは小樽の歴史の一部であり、小樽のガラスは人々の記憶を媒介し、脈々とつながってゆく。

(タケル)


※本記事の内容は2022年7月時点の情報に基づいたものです。

写真:眞柄 利香