桜陽通り

 手宮方面から桜陽高校方向へ上がって行く「手宮仲通り」をみんなは通称の桜陽通りと呼んでいる。通りのどこからでも山側を望むと、彼方の山頂に戦後彼の地に移ってきた桜陽高校がよく見える。現在は、校舎手前に大きなマンションが建ったので、このマンションの方が少々目立っている・・・。

 この桜陽通りの下には、手宮仲川という小樽運河に流れ込む三河川の一つが流れている。
その手宮仲川が昭和34-5年頃暗渠化され、この界隈一道幅の広い長橋方面に抜ける幹線道路ができあがり、ほぼ現在の形となっている。

 暗渠化される以前は川の両側に道路があり、「薬師神社の坂」の勾配を利用して、冬になるとソリで滑る子どもたちがたくさんいたそうだ。ソリの操作を誤り川に落ちる子もまれにいて、楽しい冬の風物詩が見られていた。

 桜陽通りの中ほどにある米と酒類販売の丸い遠藤商店遠藤友紀雄社長に聞いたことがある。暗渠になる前の桜陽通りは、平成24年前期(2012年)NHK朝ドラ「梅ちゃん先生」のオープニングに出てくる昭和のジオラマそのものだった。

 それを遠藤社長に教えてくれたのは、今は関西に暮らす叔父さんだそうだ。「梅ちゃん先生」放送の半年間、件のオープニングを見ながら叔父さんは、生まれ育った桜陽通り(手宮仲通り)を思い出し懐かしんだとの事。

 桜陽通りには、薬師神社の坂の下から、能島通りとの交差点まで両側に多くの商店が立ち並んでいた。前述遠藤社長は、自身が子ども時代の華やかなりし昭和40年代からの桜陽通りにあった商店の数々を店名入りで「桜陽通り図」を作成した。

 それを平成22年(2010年)2月、通りから少し清水町側に入った手宮西小学校で配布したのだ。私もその通り図を拝見したが、素晴らしい出来栄えだった。地域のおじさん面目躍如という感じ。この遠藤社長、私の高校、大学の一学年下(いっこした)の後輩である・・・。

 通りの入口付近にあった、手宮市場木村蒲鉾店のかまぼこは、通の小樽ファンにとって穴場スポットだと教えてくれたのは、小樽ガイドクラブ顧問の山川隆先生だ。その手宮市場も平成30年(2018年)3月末で閉店となってしまった。

 桜陽通りの下を流れる手宮仲川の上流が源町(現在は町内会名に残るのみで住所表示はない)、清水町を通って豊川町に流れ込み、錦町に達するという川の流れを表した粋な町名が付けられているのは、小樽ファンの鉄板知識か・・・。

(斎藤仁)


※本記事の内容は2020年7月時点の情報に基づいたものです。