天狗山の癒しスポット

天狗山の山頂へのぼった先には、私のお気に入りの場所であるシマリス公園がある。

そこには、たくさんの小さなリスが、草むらのうえを自由に駆け回っている。入園は無料で、リスたちを眺めることはもちろん、園内で売られているヒマワリのたねをあげることができる。
まさに最高の癒しスポットだ。

夏休みに、よく家族で遠くへドライブをした。そのとき、必ず立ち寄ったのがこの場所だった。そして、この場所へ行くことが、私にとっては毎回の楽しみでもあった。

天狗山の山頂に着くと、セミの鳴き声や、鳥のさえずりが聞こえてきて、目の前には美しい小樽の景色が広がる。そんな自然が豊かな場所に、リスたちはのびのびとすんでいるのだ。

小さい頃のわたしは、いつも迷わずシマリス公園へと走り、ためていたおこずかいでひまわりのたねを買った。

ここのリスたちは、人見知りなのか、近づこうとすると草むらの中へ逃げてしまう。
そこでわたしは、手のひらにたくさんのヒマワリのたねをのせて、毛づくろいをしているリスにおそるおそる近づいてみる。
すると、リスは手のひらに乗り、ヒマワリのたねを口にたくさん詰めて、満足そうに野原のほうへ去ってゆく。

のびのびと暮らすリスたちの姿は、小樽の心温まる雰囲気や、人々を包み込むような優しさを教えてくれるようだった。

大人になった今でも、わたしは、小樽に来るたびにこのことを思い出す。そして、いつ小樽に来ても、あの頃と変わらない温かさを感じる。

このシマリス公園の魅力は、リスとふれあうことで心が癒されるというだけではない。
リスとふれあいながら、豊かな自然や美しい景色とともに、ゆっくりと時間がすぎていくような、のどかな小樽を感じることができる。

都会にある動物園では味わうことのできない、どこかなつかしさを感じられるような温かい雰囲気が、訪れる人々を包み込んでくれる。

天狗山の頂にある小さなシマリス公園には、ほかにはない小樽ならではの魅力が詰まっている。

(ミユ)


※本記事の内容は2020年8月時点の情報に基づいたものです。

写真:眞柄 利香