昔の遊びと国際交流

 先日、境町通りを友人とふらついていると、出世前広場というところを偶然見つけました。昭和の雰囲気が漂うそこには竹馬や缶ぽっくり、ケンケンパの丸が書かれた地面などがあり、昔ながらの遊びができるようでした。
 そこを見つけた瞬間、13年前、三重県に住んでいた頃のことを思い出しました。当時私は5歳でした。

 伊賀の里モクモク手作りファームというところに家族で訪れたとき、父が意気揚々と「見てろ、俺が乗り方を教えてやる!」と言って竹馬に乗ったのです。少し坂になっていたためスピードが出過ぎて、父は危うく池に落ちるところでした。

 私が「パパ!」と叫んだこと、兄が小さな声で「降りればいいのに」と呟いたこと、母が心配そうな顔をしつつ心の中で(池に落ちたら車乗れなくなるし帰りが困るなあ)と結構薄情なことを考えていたこと。
 父はきっと私たちに良いところを見せたくて、必死だったのだと思います。良い思い出です。

 昔のことを思い出しつつ竹馬に乗っていると、通りがかった外国人の家族連れが寄ってきました。聞いたことのない言語で話しかけられ、何もわからなかったのでとりあえずニコニコしておきました。
 竹馬に乗っているところを撮られたり、「Very good!」と言われたりして、気恥ずかしく思いつつ、少し嬉しくなりました。私の竹馬に乗る姿が、この家族の楽しい旅行の思い出の一つになれば良いなと思いました。
 その後も息が切れるほどケンケンパをしたり、缶ぽっくりに乗って一生懸命走ったりして、楽しい時間を過ごしました。

 昔の遊びを通して自分の思い出に浸り、子供心を思い出すと共に、海外の方との交流を通して、自分自身が誰かの新たな思い出になれたような気がしました。

 みなさんも境町通りを訪れた際は、ぜひ出世前広場に寄ってみてください。懐かしさを感じるだけでなく、ちょっとした異文化交流を体験できるかもしれません。

(ハナ)


※本記事の内容は2019年7月時点の情報に基づいたものです。