駅前に佇む小樽民の支え

 小樽駅改札を出てまず目に入る建物「長崎屋」。地上7階・地下1階からなる大型施設であり、午前9時から午後9時まで営業している。
 小樽商大生からは「長屋」という愛称で親しまれ、この長崎屋を小樽民で知らないという人は誰一人としていないといっても過言ではない。
 買い物に行こう、と思ったときに別のスーパーマーケットやドラッグストアではなく、長崎屋へと向かってしまうのだろう。

 たしかに食料品は安く売られているし、100円均一ショップもドンキホーテがあるために生活用品も揃えやすい。
 ただ、小樽の小さい子供から年配者までどの時間帯であっても賑わっているのには別の理由があるだろう。

 その秘密は過ごしやすさの一言に尽きるだろう。お年寄りが多く来店するためか、地下1階にある食料品売り場へ向かう入口すぐのエスカレーターは非常にゆっくりと動く。
 小樽に住み始めたばかりの4月には、なぜこのエスカレーターだけがこんなにゆっくりなのか、壊れているのではないか、と感じていた。しかしこれは長崎屋の優しさの表れだったのだ。

 また憩いの場があり買い物後に休憩をする人、偶然出会った友人と会話に花を咲かせるご老人、放課後に友達と長崎屋内にあるクレープ屋で買ったクレープを食べる高校生、店前のバス停で止まるバスを待つ家族など、それぞれが思い思いの過ごし方ができる。
 どんな人でも受け入れてゆったりと落ち着いた気分にさせてくれる。そんな雰囲気を、店からも来る客からも感じられて、小樽とはそんなまちなんだなと道外から引っ越してきた私は温かい気持ちになれた。

 店の雰囲気は店側だけでなく客側の性格からも影響を受ける。駅前のよく混み合う大型施設で気分のよくなれる雰囲気があるのならば、このまちの雰囲気自体がいいものなのだろう。これから4年間、私はそんなまちで暮らしていけることに幸福を感じ、地元の友達に自慢していく。

(かるうあ)


※本記事の内容は2019年7月時点の情報に基づいたものです。