小樽お菓子の老舗『六美』の店主が持つ想い

rokumi

 1931年から現在まで小樽でお菓子を提供している老舗の六美。幅広い層に愛され、飽きない味のお菓子を提供している店主は3代目。今回は直接お話を聞くことができた。

 『六美』とは現在の名称で、創業当時は『みどり屋』という名称であった。しかし“六味餅”という商品が非常に評判高く、いつの間にか『六美餅』と呼ばれるようになり、最終的に『菓子舗六美』と改名したのだ。

 店主さんの雰囲気は優しく、お菓子作りに対する熱意も並々ならぬものであり、私は非常に好感がもてた。忙しいにも関わらず『六美』という名に至った経緯や小樽、お菓子に対する思い入れを丁寧に話してくれたことには感動した。

 六美の歴史を聞いた後、私はどうしても気になっていた店主オススメのお菓子を質問した。「オススメ商品はりんごブッセで、あえて甘くないリンゴを余市で栽培し、それを素材としています」とのこと。帰宅する際、このお菓子を無料で頂いたので食べてみると、想像以上にさっぱりとしていて何個も食べたくなる味であった。

 長年に渡って幅広い客層の心を掴んでいるのは、素材をはじめとする細かい気遣いの賜物だろう。年末に実家へ帰省する際、家族に六美のお菓子をお土産として持ち帰ったところとても好評であってテンションが上がった。リピートが確定した瞬間でもあった。

 現在は新たな職人の卵を探しているようで、「小樽でお菓子作りに真摯に向き合いたい人」を求めている。現在の小樽は老齢人口が年々増加し若者の流出が止まらない状況にあるし、私自身も最終的には地元へUターンする予定であり、こういった中での人材探しは大変だろう。しかし、六美店主のお菓子作りそして小樽への想いは強く、必ずこの想いに惹きつけられる人が現れるに違いない。

 六美は他にも様々なお菓子を販売しており、一度訪れてみるとその美味しさを実感できる。また、看板商品の一つである“おたるワインジュエリー(ワインゼリー)”は日本トップのパティシエにも認められた味で、なんと世界進出する予定なのだ。小さな小樽から世界へ飛翔する六美がさらに繁栄することを願っている。

(田中くん)

※本記事は2014年1月に執筆されたものです。