小樽で戻ってきたい場所

toukourouB

小樽の人は,本当に温かい.なんというか,その温かさは具体的にどのようなものかということをはっきり言うのは難しい.ただわかる人にはわかるんじゃないかなぁ.

大学に入ったばかりの時,“小樽の人は温かい”ってどういう意味なんだろう?ということが多かった.正直言って,お店に入ってみてもなんかちょっと無愛想で,ファーストフードやチェーン店の様な作られたスマイルが全くと言っていいほど無い.

温かいという意味がわからないまま卒業してしまうのでは無いかと思った.
 

私は縁あって,小樽市内中のあんかけ焼そばを取材することになった.取材に行く時なんかもう,“気むずかしい人が多いんじゃないかなぁ…”,“話聴かせてもらえるかなぁ…”,“でももしかしたら…”

不安とかすかな希望を胸に取材に行ってみた.

店主のおじさんが店の中で座って堂々とタバコを吸っている.
“すいません,小樽商大のものですが…取材に来ました!よろしくお願いします.”

店の奥からおばさんも出てきた.昔綺麗だったんだろうな.という印象.
“あら,商大生かい.取材偉いねぇ.”

挨拶を済ませ,イスに座り,お目当てのものが出てきた.
あんかけ焼そばをすすりながら,どんなコメントを書こうかなぁと取材のことを考えながら,美味しく頂いた.

取材は続く,続いてはインタビューだ.
お店の出来た経緯,最近の小樽のこと,我々の取り組みのことなど様々.
だんだん話は盛り上がってきて,おじさんとおばさんの昔の話.
昔の小樽はどうだったとか,お店が移動したこととか,二人の仲のこと
最初にあんなに厳しそうだったおじさんも,いつしか自然な笑顔を見せるようになってきた.

“またおいで.”

そうか,わかったぞ.小樽の人は,初見の人には見せない表情があるのか.
初めての取材で,不安で一杯だった私に優しく接してくださったここのお店は
いつしか,私と友人たちが一番使うお店になって,しかも,私より友人たちのゴシップに詳しくなっている.笑

こんな感じで,小樽での思い出が増えていき,小樽が慕わしいまちになっていくのか.

(匡)