中庭

 運河プラザの中庭は、夏の間ここを訪れる観光客の休憩所として活用されている。平成2年(1990年)が運河プラザの開設なので、すでに28年の歴史を有している。

 私たち浅草橋オールディーズナイト実行委員会では、この中庭を活用する方法として、3年前から「~真夏の~中庭音楽祭」と銘打ち、8月の第一土日に音楽と飲食を楽しむイベントを開催している。

 そして、今年平成30年(2018年)からは、それをさらに拡大し、おたる潮まつり初日から連続10日間を「~真夏の~中庭ビアガーデン」と銘打ち、音楽と飲食を楽しむイベントを開催した。

 このイベントは野外ビアガーデンの無い小樽にとって、市民、観光客からも大変好評で、継続開催の要望も数多くいただいたイベントだった。

 さて、この中庭であるが、小樽倉庫として明治23年(1890年)から27年(1894年)の4年間に渡って建築された小樽市指定歴史的建造物の中庭である。今は運河プラザの一番庫から三番庫のそれぞれに入口があり、バリアフリーで入場できるように同じ高さで石畳が敷かれている。しかし、創建当時は中庭に入るのに一段下がった土間だった。

 この中庭付き倉庫というある種無駄な造りの倉庫は、小樽にはこの倉庫しかないのである。中庭まで船荷を運び、人目に触れない状態で、むしろを荷解きしたと資料に記載されている。倉庫前で荷解きして、中に運び入れていた他の倉庫との差別化を図っていたということだ。

 そんな歴史ある中庭であるが、小樽市民でもこの中庭の存在があまり知られていないのが現状である。前述のようなイベントを開催し、観光客だけでなく、小樽市民にも夏の夜長に運河周辺まで下りてきていただき、憩える場所を創出したいと考えたのである。

 四方石壁に囲まれた運河プラザ中庭は、石造倉庫の街小樽にありそうなのだが、ここにしかない風景であることを付け加えておく。

(斎藤仁)


※本記事の内容は2018年10月時点の情報に基づいたものです。