丸型ポスト

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 歴史とロマンの街小樽には、丸型ポストが似合う。と言うか、実際小樽には丸型ポストが多い。写真はご存じメルヘン交差点近くの、堺町郵便局のものである。

 全国に丸型ポストは6000個弱現存するという。そのうち北海道には140個弱、そのほぼ2割にあたる23個が小樽にあり、道内都市においてダントツの1位を誇っている。

 次いで札幌の7個が続くわけだが、経済規模、人口比を考慮すると小樽の丸型ポストの割合は札幌の50倍以上ということになる。ちなみに全国の郵便ポストの数は18万強ということだ。

 さて、丸型ポストの歴史に関し少々うんちくを・・・。これができたのは、明治34年(1901年)。今から100年以上も前のことである。明治の発明家、俵屋高七(たわらやたかしち)氏が考案し、東京の中心日本橋に設置されたと記録されている。一円切手の肖像で有名な、郵便の父と言われる前島密の時代である。その後、紆余曲折を経て、昭和24年(1949年)現在残る丸型ポストの形ができあがったという。

 私が子供だった頃、札幌の街中にあった四角型二口ポストを見て、大変驚いた記憶がある。丸型ポストしか知らない子供にとって、角型の都会的感覚と口が二つあったという驚きが入り混じったものであったのだが・・・。やっぱり札幌は違うなという、都会に対するある種、劣等感みたいな感覚で見たように感じる。

 ほどなく小樽の街にも口は一つだが、角型のポストがお目見えし出した昭和40年代中頃、子供心に木製のドアや窓が、アルミサッシに代わって行くように、丸型ポストも角型ポストに交換されていくのだろうと思っていた。

 さにあらず、小樽に丸型ポストは残ったのだ。潮風による腐食に強い鋳物製で、金属製の角型より経年劣化が無いなどいろいろな理由を識者は挙げているが、そんなことはどうでもよく、小樽の街には丸型ポストがよく似合っているのである。

 近年、観光客で一番賑わう浅草橋街園に、郵便ポストが新設された。もちろん形は丸型である。

(斎藤仁)