輝光寮から見た夜景

20140604kikouryou

 輝光寮から見る夜空は小樽市で一番美しい。しかし、満天の星が見えるのは、山頂に存在する輝光寮だから、ではない。

 わたしは小樽商科大学入学当時から2年間、学生寮「輝光寮」に住んでいた。大学からさらに坂を上ったところにある、当時新築の5階建てマンションである。1ユニット9人もしくは12人の共同生活で、1階に2ユニット、計10ユニットで構成されている。リビングやキッチン、風呂やトイレは1ユニットで共有。学習机とベッドが備え付けられた個人部屋はあるが、寝るためだけに使用しているようなもので、ひとつの家に本当に9人で生活している感覚を味わえた。

 そんな我が寮は山の上に存在しているため、アルバイトを終え歩いて帰宅すると、空には満天の星、目下に広がる小樽築港の夜景、天狗山の灯り、そして真っ黒な海が一望できた。寮の同期たちと流星群を何度見たことだろう。特に5階から見る景色は格別で、部屋にいながら、椅子に座りながら小樽の観光マップに掲載されているような景色を堪能できた。

 小樽運河にいても、寿司屋通りにいても、夜道を歩いていても、ふと空を見上げれば星が見えるはずである。オリオン座、北斗七星などなど、誰もが知っているような星座はもちろんのこと、その気になれば冬の大三角形や夏の大三角形も見つけることができる。

 あなたは夜空を見上げたことがあるだろうか。満天の星空に、感嘆の声をあげたことがあるだろうか。それまでのイライラとした気持ちや悲しい気持ちは消え去り、何時間も無心で星を見続けたことがあるだろうか。観光地でありながら綺麗な空気を保つことはたいへん困難なことである。しかしそれを現実のこととしてしまうのが小樽である。ぜひ小樽に訪れた時は、小樽運河や寿司屋通りといった「陸」のみに目を向けるのではなく、「空」にも目を向けて欲しい。

(瀬)