公会堂と能楽堂

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 市民会館の隣に、旧小樽区公会堂・旧岡崎家能舞台という二つの市指定の歴史的建造物がある。公会堂は明治44年(1911年)、能楽堂は大正15年(1926年)建築という古い建物だ。
 その詳しい歴史は、ここでは割愛するが、公会堂は、皇太子(のちの大正天皇)の宿泊用に、海運商として名を馳せた藤山要吉能楽氏の寄付により建築、能楽堂は、豪商で市会議員でもあった岡崎謙氏が、自宅邸内に建築、と昔の小樽の繁栄を象徴するような建物である。

 この二つの建物は現役である。
 公会堂は、イベントやサークル活動などのスペースとして市民に利用されている。
 能楽堂も6月から8月までは一般に開放され、能楽体験教室や市民能などが催される。ちなみに格式に則った能楽堂では、東北以北唯一のものだそうだ。

 夫が小さいころから通っていた剣道の道場は、毎年公会堂で1月11日の鏡割りを行っていたそうだ。鏡割りとは、真剣を使い正月の鏡餅を割る行事だ。道場の先生方の後、6年生くらいになると、少年剣士も剣を持ち、やらせてもらったということだ。
 割った鏡餅をお汁粉にしていただくもの楽しみだったという。
 歴史的建造物だけあって、冬はかなり寒い。気密性はほとんどゼロに近い。冬の間ここで子育てサークルをやっていた時期があるので、その寒さは私にもわかる。その寒さゆえに、温かいお汁粉は格別においしかったという。

 公会堂では、先日も太鼓のイベントが行われ、私は娘を二人連れて訪れた。
 ちょうど前庭の木々も少し色づき始めていて、趣のある外観とともに、その風情にほっこりとなった。太鼓もまた、この建物にぴったりの素晴らしい音色だった。

 厳しい雪にも風にも耐え、102歳と87歳。これからも現役として活躍してもらいたいものだ。

(川)