赤レンガ倉庫

5月の中旬の午後、小樽の赤レンガ倉庫を見に行った。赤レンガ倉庫を見て横浜が思い浮かんだ。

横浜の港町にも赤レンガ倉庫がある。そこは毎週のように新しいイベントがあり、エネルギッシュなイメージを持っている。
しかし小樽のそれは全く違う印象だった。静かで、10分程の滞在が30分ぐらいに感じた。

なぜこんなにも印象が違うのだろう。なにかイベントをやってないから?人通りが少ないから?と、内心で自問自答しているとふと赤レンガの後ろに緑が見えた。天狗山だった。

レンガ独特の温かい赤色と山の若々しい緑、さらに後ろに広がる空の青。すべてがちょうどよくまとまっていた。その絶妙な色合いが私の意識を強く惹きつけ留まらせた。

私の地元横浜も、小樽と同じように明治からの港町で、坂が多いところもよく似ている。しかし大きく違うところがある。背景だ。

横浜はビルや高速道路が目を引くのに対して、小樽では必ず海に山などの自然が後ろにある。そしてどんな場面でも調和して映る。
そのせいだろう、雰囲気が全く違う。小樽での時間はゆっくり流れている感じ。

昔を振り返ると横浜の私は「次は何をしよう」「明日はどうしよう」のようなことばかり考えていた。
「こんなところにラベンダー!」「カエルの声だ(笑)近いのかな?」小樽に来てからの私はずいぶんとおおらかになった気がする。

小樽観光といえば水族館に運河に食べ歩き、そしてこの倉庫。
一見なんてことないすこし古いまち。その背景には必ず雄大な緑や広がる青が映る。そんな景色が小樽に訪れる人の時間を引き延ばす。

時間の流れが違うこのまちで、私の4年間はどのように流れるのだろう。

(ますぐ)


※本記事の内容は2021年7月時点の情報に基づいたものです。

写真:眞柄 利香