現代→過去

私はある場所の写真に惹かれた。紅葉橋だ。

秋には橋に絡みついた楓の葉が鮮やかで、きれいな赤に色づいてくる。
きっとこれが名前の由来だろう。

この橋は1935(昭和10年)に造られたものだ。85年もの長い年月の間、小樽の人々の暮らしに根付いていて、たくさんの人の役に立ってきた。
そんなことを思うと、なんとも逞しいように見えてくる。今でも当時と変わらず残されているところから、地元民に愛され、大切に守られ続けてきたことがひしひしと伝わってくる。

そんな歴史のある紅葉橋。私が魅力を感じたのは、石造りの欄干だ。
ポイントは石で造られているところだ。私の地元は田舎だが、今まで見たことがなかった。都会の人ならなおさらだろう。

私はそれを初めて見た時、「なんだこれ、趣深くてかっこいい。さすが小樽!歴史感じるな。」と思った。私の祖父母は懐かしいねー、と言っていた。
一昔前までは主流だったこのタイプの欄干も、今の私たちの生活には馴染みがなく珍しい。歴史あるものを@将来世代に受け継いでいくのって素晴らしい、と私は感じた。やっぱり小樽は、歴史を大切にするいい街だ。

私が先の写真に惹かれたところは、紅葉橋それ自体だけじゃなく、それを中心とした周囲の風景だ。その橋は於古発川(おこばちがわ)に架かっている。
その川沿いには三角屋根の昔ながらの作りの家が建ち並んでいる。とても絵になる。

橋を渡るとその先には、紅葉橋の坂という緩やかな上り坂があり、上った後の眼下の風景は何とも言えない。1度も見たことがないはずなのに、不思議とどこか懐かしく、暖かみを感じる。

さらに進むと現れてくる小樽市公会堂。木造建築のそれは、時代の流れに負けることなく、そこにあり続ける。それらを見た途端、私は突然タイムスリップしたような感覚になった。

小樽にはこんなにも、昔ながらの風情豊かな街並みが身近にある。だれでも手軽に、過去と現代を行き来できるのだ。
それが小樽らしさであり、良さでもある。まだまだ隠れた魅力がありそうだ。

(リョウタ)


※本記事の内容は2020年8月時点の情報に基づいたものです。

写真:眞柄 利香