旭展望台

 旭展望台は、小樽駅の裏側、通称三角山にある標高190mの小高い展望台である。私は旭町にある展望台なので、この名称が付いたとずっと思っていたのだが、展望台の住所は、富岡2丁目とのこと。旭町は、展望台の後方の山林地帯だということだ。

 現在、小樽には、天狗山山頂や毛無山中腹にも展望台があり、どちらの標高も旭展望台より高く、眺めも良いので、ここの存在意義が薄れて来ているのは否めない・・・。

 私が緑小学校へ通っていた昭和40年代前半は、ここが遠足コースの一つだったので、旭展望台周辺には何度も訪れている。駐車場には小林多喜二文学碑があり、このおたるくらしで紹介させていただいたこともある。

 また、昔はこの展望台下のスロープは、冬になると格好のスキー場となり、小樽市教育委員会主催、小樽スキー学校の会場のひとつにもなっていた。ちなみに、今はブッシュや樹木が生い茂りスキーを滑ることはできない状態となっている。

 この少し忘れられた展望台が、一躍脚光を浴びたことがあった。平成17年(2005年)頃だったと思う。当時高校生だった愚息が友だちと、「最終兵器彼女」という平成12年(2000年)から漫画雑誌ビッグコミックスピリッツに連載されたマンガの実写版映画のエキストラに行くと言うのである。この原作が、まず平成14年(2002年)にテレビアニメ化され、それが評判になり実写版の製作となったようなのである。

 何でも小樽を舞台にした映画だったようで、商業高校やこの旭展望台がロケ地として使われるというのだ。原作マンガにも、旭展望台の風景が出てくるようで、テレビアニメ版、実写版映画公開以後、聖地巡礼という名のロケ地訪問が、コアなファンの間で行われたというのだ。残念ながら熟年オヤジのアンテナには、引っかからなかった出来事だったが・・・。

 余談だが、私のお気に入りを紹介する。商大通りからこの旭展望台に向かう観光道路が晩秋の季節になると、アスファルトに余すところなく、落葉のジュータンが敷き詰められる。そして、その自然のジュータンの上を車で颯爽と走ることが、最高のお気に入りなのだ。

 昔、日産ローレルのテレビCMで、上条恒彦の歌が流れる中、落葉の中を車がゆっくり進むというのがあったのだが、まさにその光景を彷彿とさせる光景なのである。

(斎藤仁)