小樽稲荷神社

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 手宮の煤田山頂上に小樽稲荷神社はある。NHKで全国放送されたかの「励ましの坂」の頂上でもあるこの神社を地元の人たちは「いなりさん」と呼んでいる。

 毎年6月、この煤田山の向かい側、手宮富士(荒巻山)の十間坂「十間通り」で開催される手宮祭りは、ここの例大祭である。手宮銀座街、能島通り商店街に多くの露店が並び、餅まき、カラオケ大会や神輿渡御などを行い、毎年、小樽三大祭(住吉、水天宮、龍宮)に負けず劣らずの規模で開催されている。

 通常、神社の例大祭は、本殿付近の参道に露店が出るという形であるのだが、ここは急坂の頂上に本殿があるということで、例年坂下の商店街を縁日会場にして、更に「お旅所」を設けて、本殿までわざわざお参りに来なくてもよい形にしている。坂の街小樽の面目躍如!!!???という感じか・・・。

 私が子どもの頃は、手宮富士の裏側(手宮側から見ると表側だが・・・)に行く機会はほとんどなく、手宮祭りの存在さえもよく知らなかった。市内全域から生徒が集まる高校年代になると、各地域の大小様々な例大祭の話の中で、手宮祭りの大きさが話題になったことがあった。特に地元出身者は、
 「手宮祭りは住吉とは五分だな。いやいやそれ以上だ。完全に水天宮、龍宮には負けてないぞ!!!」
 などとうそぶき、地元愛全開の様子を表していた。もちろん、各神社仏閣の例大祭に勝ち負けがあるわけでもなく、時の経済、社会情勢が如実に表されるだけなのであるが・・・。

 話しは変わり、ここの境内は平成19年(2007年)から、毎年5月ゴールデンウィーク明けの土日の日程で、「手宮夜桜ライブ」というアコースティック系ミュージシャンの、無料音楽イベントの会場としても利用されている。

 本殿前にある階段上をステージとして使い、その下が観客席という、参道をうまく利用したステージとなっている。また、地元有志による飲食露店も出て、子どもたちも多く訪れ、大変にぎわっている。まだ5月なので、暖かい服装で来てくださいと地元商店主たちが中心の主催実行委員会は毎年告知している。今年は5月7日、8日に開催される。

(斎藤仁)