住ノ江カトリック教会

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 30年以上前の事、私のダンスの師匠である中畑弥撒夫(なかはたみさお)先生との雑談の中での一端を・・・。

「私は若いころ、住ノ江カトリック教会にいたんだよ」
「住ノ江カトリック教会??? 先生はクリスチャンなんですか」
「そうだよ。名前の弥撒夫は、キリスト教のミサの漢字なんだよ。私の本籍地は、住んだ事はないが、函館のハリストス正教会の住所だ」

 という会話が、住ノ江カトリック教会の存在とミサの漢字を初めて知った時の事だった。

 小樽の歴史的なキリスト教会と言えば、遠くからでも礼拝堂の尖塔が目立つカトリック富岡教会、小樽の中心街に位置している小樽公園通教会、水天宮下の小樽聖公堂あたりが有名である。それらに比べると、少し地味な感じが否めない住ノ江カトリック教会ではあるが・・・。

 住ノ江カトリック教会は、仲良く和洋混合の宗教施設が存在している、住吉神社の船上山に位置し、ご近所に高田幼稚園の浄暁寺がある。同様な立地環境は、水天宮も同様である。日本人の多様で鷹揚な宗教感覚ゆえの平和的な環境である。

 さて、この住ノ江カトリック教会であるが、明治30年(1897年)築の精米業として財を成した、現在の小樽オルゴール堂にあった共成社長の佐々木静二氏の邸宅を、昭和24年(1949年)カトリック富岡教会の分教会として譲り受け、現在に至ると聞いている。

 明治・大正期のお屋敷建築によくある和洋折衷のおしゃれな邸宅である。ここは、小樽駅裏の富岡町、水天宮界隈の相生町同様小樽のお屋敷街の一つに数えられている。

 一般のキリスト教会と異なり、民家を利用しての教会という事で、趣は大いに違っている感じがする。カトリック富岡教会同様とても小さいがルルドの洞窟も前庭にある。

 また、たまねぎ型の鐘楼から聞こえる鐘の音は、花園町の私のマンションまでよく響き、量徳寺の鐘の音とのコラボレーションは、大晦日に極上の楽しみを与えてくれる。

(斎藤仁)