北海ビル

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昭和49年(1974年)、小樽初、地下1階地上5階建エレベーター付雑居ビルが、稲穂1丁目丸井今井裏通りに、鳴り物入りで誕生した。小樽の飲み屋街は、路面店が多く、せいぜい2階建、稀に3階建はあるが、エレベーターなど付帯していなかった。

そんな街にススキノにあるような、エレベーター付のビルができたのである。驚きはもとより、本当にやっていけるのかと思った人も多かったようだ。

当時、小樽三大デパートの一つに数えられていたニューギンザ、昭和51年に小樽駅前に小樽国際ホテルができるまで、小樽唯一の都市型ホテル北海ホテルと、北海ビルは経営系列が同じであった。

1、2階はスナック、小料理屋、ラーメン店など小ぶりの店舗が入っていた。その中に小樽を代表するクラブ、バイカウントもあった。

3階は小樽、札幌で大箱のダンスホールを数店経営していた、ゴールデンスターグループが運営するオブキンこと、キングオブキング。贅を尽くした凝った造りは、嵐山通りに今も小樽に唯一残る、ダンスクラブベルサイユに面影を残している。当時、都会のディスコを真似て、Gパン、Tシャツ、サンダル等での入場はできなかった。

4階は、ジンギスカン食べ放題の走りだった北羊亭、ここには高校生の頃、よくお世話になったものだ。ジンギスカンの脂で、床がツルツルしていたのを覚えている。

5階はグリーンサウナ、大人の真似して、はじめてマッサージを受けたのは、ここだった。水風呂の意味が分からず、最初は、沸かすの忘れた湯船と思っていた。

何といっても地下1階のBeeJayは、若者、音楽好きの憧れの店、内装がレンガ造りで洒落ていて、心地よいJazzが流れる素敵なパブだった。

今の北海ビルは、10年ほど前から、写真の通り荒れ放題の幽霊ビルになってしまった。平成27年、向かい側に、エキサイカイ病院等が移転新築した暁には、この北海ビル前は新しい顔を見せるのではと思っている。

(斎藤仁)