七夕

tanabata

小樽では、七夕は、旧暦の七夕の日、つまり八月七日に行われます。
私の出身地である九州では、七夕といえば、笹に短冊を飾って、七夕祭りに行って、ちょっと夜空を眺めて終わりという具合でした。
しかし、小樽を含め北海道各地では、知らないものにとっては驚きの七夕の風習があるのです。

それは、七夕の夜、子ども達が集まって、手作りのカンテラやちょうちんをもち、近所の家を訪ね歩き、家の前で歌をうたってお菓子を貰うというものです。きっと同じことを思う方もいらっしゃるでしょうが、まるで「ハロウィン」のようではありませんか。

この風習は「ローソクもらい」と呼ばれています。“Trick or treat!”というハロウィンの決まり文句の代わりの歌は、

♪今年ゃ豊年 ろうそくだーせだーせよ ださねば かっちゃくぞ おまけに 喰っつくぞ♪

この歌は、地域によって違うということで、小樽では歌の最後に「商売繁盛」の文句がつくこともあったようです。さすが商業で栄えた町ですね。ちなみに、七夕の歌としておなじみの♪笹の葉サラサラ…♪を歌うこともありました。

始めはローソクを貰っていましたが、40年位前にはお菓子などを貰うようになったようです。時には、お菓子の代わりにお小遣いをいただくこともあったそうです。夜に友達同士で堂々と遊べて、何軒か家を回るとお菓子もどっさりといった具合で、とても楽しい行事だったということです。

この風習は、もうすぐ80歳になる義父が小さい頃から既にあったようです。残念ながら、地域社会の衰退に合わせるように、近頃は見られなくなってきました。時代の流れと言ってしまえばそれまでですが、長らく続いてきた楽しい行事なだけに、惜しいことです。

私の子ども達が通っていた幼稚園では、七夕の時に、この歌をうたって先生からお菓子を貰うという形で、歌の継承を行っていました。遊び心のある素敵な歌なので、これからも何らかの形で受け継がれていけばいいなぁと思っています。
今年は知っているご近所の方にでも声を掛け、「ろうそくだーせ」を復活させてみようかな。

(川)