見惚れる街並み
もっともっと歩きたい。
小樽の街並みを歩く時、私はそんなことをいつも考えてしまう。どうしてこのような感情が私の中に湧き上がってくるのか考えてみた。
他のまちには無い、文化や歴史との交わりとそれらによって生まれる不思議な統一感、そのようなものがこの街の魅力では無いかと思うのだ。
私は札幌生まれ札幌育ち、初めて小樽に来たのは小学校の修学旅行。おたる水族館、北一ガラス、小樽運河などと、いわゆる観光地としての小樽を目一杯楽しんだ記憶がある。
やがて私も大きくなり、小樽の大学生となった。私自身散歩が大好き、ということもあり、第二の故郷になるであろう小樽の街を隈なく歩き回り、街の雰囲気を肌で感じることにした。
風鈴の音がチリンチリンと私の心を涼やかにさせてくれるので、私は暑さを忘れて軽やかに足を進めた。堺町通のガラス店、オルゴール堂、古雑貨屋、ラーメン屋、せんべいの出店、唐揚げ屋など、期待とお腹をぱんぱんに膨らませつつも私は歩き続けた。まちを歩くなかで、ふと思った。
「なんかずっとわくわくするなぁ。」
少し不安になるギシギシと音を立てる階段、舗装されておらず、傾いている石の床。機能性の面で見たら間違いなく新しく作り替えた方がいいに決まっている。
しかしこのまちでは、それ自体を価値のあるものとして認めて残し、ベネフィットに変えているのだ。この古めかしさも、親しみやすさやレトロ感として受け入れ、大切に建物の良さを受け継いでいく。そのような建物がたくさん残されているからこそ、店には多様性があるにもかかわらず、街並みに統一感が生まれていく。
なぜ、ずっとワクワクするのか。街の良さとして残されたものを見つけたり、考察したりして歩くのが、私は宝探しをしているようで楽しいのだと気づいた。
この街にはまだまだ隠された素晴らしい宝が眠っているに違いない。もっともっと歩き回って、小樽の魅力を探し続けるのだ。
(タコボックス)
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※本記事の内容は2021年7月時点の情報に基づいたものです。
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写真:眞柄 利香