改札と風景とケーキ屋と

 普段、札幌方面から小樽駅へ行く時、通り過ぎてしまう朝里駅。私は祖父母が朝里に住んでいるため、小さいころから朝里にはよく行っていた。
 いままでは、特に何もない田舎の町だという風にしか思っていなかった。しかし、毎日のように小樽に通うようになると、そんな朝里にも、意識してみると小樽の魅力がぎっしり詰まっていることに気付いた。そこで、朝里駅周辺から、宝探しのように多くの発見があり、わくわくする街小樽の魅力を感じてほしい。

 朝里駅には無人駅ならではの不思議な改札がある。普通なら通り抜ける方向には壁。よく見ると改札の両サイドで乗車、下車によってICカードをかざす方が区別されている。これは朝里で実際に降りてみるか、意識して観察しなければ気付かないだろう。

 線路のすぐ横には海、反対側には緑と垣間見える民家。海側に行けば波打ち際まで見られる。坂を登り、海の方向を見ると空と海、線路と緑が一つのフレーム内におさまる。
 その景色は何か珍しいものがあるわけではないが、それらが一度に見られること自体が珍しいのではないではないか。
 私は、このことに気づいたら撮り鉄たちが集まってくるのではないかとひそかに思う。こんなところにも、意識して見れば、日常が魅力の詰まった特別なものに一瞬にして変わる場所がある。

 駅から民家が並んでいる山側に行くと、駅から徒歩10分程度の場所に小さなケーキ屋さん、里李庵がある。
 里李庵は地元の人に愛される昔ながらの和・洋菓子店だ。店主のおすすめは洋梨タルト、アップルパイ、レアチーズケーキ。どのケーキもとても美味しいが、その中でも私は洋梨タルトが好きだ。そして里李庵の最大の特徴は値段の安さである。洋梨タルトはなんと120円!そして、ほとんどのケーキが200円以内で販売されている。

 調べてみると、この店はほとんど情報が出ていない。なんてもったいないのだろうと思う。しかし、それが朝里、いや小樽の魅力である。
 こんなにも宝探しのようなわくわく感を味わえる場所は少ないのではないか。ぜひ小樽へ宝探しをしに行ってほしい。

(SD青ちゃん)


※本記事の内容は2019年7月時点の情報に基づいたものです。