桜のある風景

 皆さんは、「桜」と聞けば、どのような景色を頭に思い描きますか?
 家のお庭にある桜、近所の小学校にある桜、道路の並木の桜…はたまた京都の名所の見事な桜、なんて方もいらっしゃるかもしれません。大きく広がった枝先に、隙間もないほどの淡いピンクの花びらが咲き誇る様子は、どこで見ても圧巻ですよね。

 小樽でも、5月に入るとそんな桜を街のあちこちで見ることができますが、少し足を伸ばして坂を登ってみると、近所の並木道や、札幌の花見会場では見ることのできないような、独特な桜を見ることができます。

 みなさんの思い描く「桜」の淡いピンク色と、共にある色はどのような色でしょう。木の幹や地面の茶色、アスファルトの灰色、芝生の緑、空のみずいろ、夜桜であれば、夜空の濃紺…他にも数え切れない色が、主役である桜の色を引き立て、美しく彩っているかと思います。

 しかし、今回私が紹介する小樽の桜は、他の土地ではなかなか見られない、独特な色が、桜と共に登場します。

 海の深い青色です。

 桜といえば、普通は山や道路などに咲いているもので、周りの景色は、どうしても他の植物だったり、町並みだったりになりがちです。

 しかし小樽では、海を背景とした、普通の桜とはどこか一線を画した桜も見ることができます。というのも、小樽は海沿いの街なのですが、同時に町中の至る所に坂がある街でもあるために、坂を登っている途中、ふと後ろを振り返ると、海と桜を同時に望むことができるのです。

 春といえば海のいうイメージはあまりないかもしれませんが、背景に海があると、新たな生命が芽吹く力強さを持ちながらも、どこか涼しげで落ち着いているような、新たな桜の一面を垣間見ることができます。桜と、海と、坂が共にある小樽だからこそ見られる、小樽ならではの桜、小樽ならではの景色なのです。

 皆さんも、5月に小樽に訪れた際は、是非、坂を少し登って、桜を眺めてみてください。きっと、今までとは一風違った桜を楽しむことができますよ。

(わかめ)


※本記事の内容は2018年7月時点の情報に基づいたものです。