商店街のピアノ

 小樽駅から徒歩で約10分の所に、サンモール一番街という商店街がある。
なぜか、その商店街の中のおたる屋台村レンガ横町前には、ピアノが置いてあるのだ。

 このピアノは「ストリートピアノ」と言い、誰でも自由に弾いて良いものであり、実際に老若男女問わずいろいろな人が弾くために訪れている。また、大体昼過ぎから夜10時頃まで弾くことが出来るため、仕事や学校が終わった後でも気軽に立ち寄れる。

 私がストリートピアノの存在を知ったのは高校三年生の時である。その当時、美術部に所属していたので高文連に参加したのだが、1~2時間ほどで小樽のどこかをデッサンするようにという課題が出た。
 高校一年生のときには小樽運河を描いたので、別の場所を描こうと思い立ち寄ったのがサンモール一番街だった。デッサンを描いている途中で、おたる屋台村レンガ横町前にある暖簾のようなものが上がり、その中からピアノが出てきたときは驚いた。まさか商店街にピアノがあるとは思っていなかったからだ。試しにいくつかの音を鳴らしてみると、とても綺麗な音が商店街に響き渡った。

 その思い出が深く印象に残っていたため、今回は、ストリートピアノについてのことを文章にしようと決めた。二週間ほど前、ストリートピアノの写真を撮影するためにサンモール一番街を訪れた時にはちょうどピアノを弾いている人がいた。その人とはいろいろな話をしたのだが、会話をしているうちに、商店街にピアノを置くことでこの場所が新たな交流の場として活躍しているのではないのだろうかと感じた。

 この文章で紹介をしたサンモール一番街内のストリートピアノは、最初にも書いたとおり小樽駅からだいたい徒歩10分と、アクセスの良いところにあるので、小樽に何か用事があった時やふとピアノが弾きたくなった時には、是非この場所を訪れてみて欲しい。
 きっと新しい交流、体験をすることができるだろう。そして、このピアノを違和感なく受け入れた懐の広い小樽で、楽しさを分かち合うことが出来るだろう。

(たつや)


※本記事の内容は2018年7月時点の情報に基づいたものです。