雷除志ん古

小樽は観光地であるが、地元の人々からとても愛されている町である。
小樽には、昔ながらのお餅屋が数多くある。理由として様々な説があるが、小樽は港町として栄えていたため、お餅を作る材料が集まりやすかったことや、港で働く人たちが持ち運びしやすく手軽にエネルギー補給をすることができ、腹持ちのいいお餅を好んだことなどが有力とされている。

JR南小樽駅から歩いて5分ほどのところにある「雷除志ん古」も昔ながらのお餅屋の一つである。江戸時代後期から営業を続けており、小樽に現存するお餅屋のなかで最も歴史がある。

私の祖父母の家が小樽にあり、私は小さい頃から年に数回小樽に遊びに行っていた。小樽に行く度に父親は「雷除志ん古」のことを話しており、お店の近くまでよく行った。

しかし、お店に着く時間がいつもお昼過ぎであり、営業が終わってしまっていた。
「雷除志ん古」は朝の7時半から営業をしているが、開店時に並べた商品が売り切れたらその日の営業を終了してしまう。また、地元の人々に愛されており、近所の人々や出勤前の会社員などが買い求めに来る、そのため、早いときでは9時に売り切れてしまっていることもあるという。

私は、商大に入学したため、通学途中にお店に寄ることができるようになった。
以前、9時ごろにお店に行ったことがある。すべて売り切れてしまっているのではという不安があった。

お店の外観は鮮やかな色は使わず、ひっそりとした雰囲気がある。「商い中」の文字が見えたので安堵しながら中に入った。店内も落ち着いた雰囲気があり、どこか懐かしい気がした。お餅は、豆とゴマがあった。お店の人に聞いてみると、赤、白、よもぎもあったそうだが売れてしまったとのことだった。味は甘塩っぱく、疲れているときなどには最適であると思う。港で働く人々が好んでいた理由がわかった気がした。

小樽には、運河などの観光名所がたくさんある。しかし、ひっそりと地元の人々に愛されている場所もある。それらはどこか懐かしく、自分も小樽民なのではと感じさせてくれる。居心地の良さを味わいに小樽を訪れてみてはいかがだろうか。

(NORI)


※本記事の内容は2018年1月時点の情報に基づいたものです。