ロース幼稚園

ロース幼稚園は小樽駅、小樽警察署の裏側、富岡1丁目にある小樽市内で一番古い、伝統のある幼稚園である。ちなみに北海道に現存する幼稚園では、函館の遺愛幼稚園に次いで2番目という事のようだ。

1850年生まれでアメリカペンシルバニア州ミルフォード市出身の、園名の由来にもなっているミス・クララ・H・ロース女史が来日したのが明治18年(1885年)。日本の女子教育に深い関心を示し、北星女子高校の前身である札幌スミス女学校教師の後、当時商業都市として発展著しい小樽に、初の女学校「静修女学校」を明治28年(1895年)に設立している。

その女学校付属幼稚園としてこのロース幼稚園は明治30年(1897年)に開設されていると 「~信仰・希望・愛~ロース幼稚園100年のあゆみ」「~創立110年~ロースようちえん」という2冊の記念誌に記載されている。

小樽市図書館2階に常設されている「郷土のコーナー」で拝読させていただいた。ちなみにその女学校は、財政上の理由から創立から20年で閉校している。しかし、幼稚園だけはロースの冠を掲げ、現在も脈々とロース女史の精神を引き継いでいる。

ロース幼稚園は、私のダンススクールの近所という事もあり、前庭で遊ぶ園児たちを眺めたりすることもしばしばである。また、流行の幼稚園バスにデコられた(改造された)「ロース幼稚園Rose Kindergarten」と大きくペイントされているワンボックスカーと何度もすれ違っている。私にとっては大変身近な幼稚園の一つである。

また、私のダンススクールの生徒さんの一人も、70年前に堺町からこの幼稚園に通っていたと教えてくれた。まあほとんど記憶はないけどね・・・とも言っていた・・・。そりゃあそうだわなと妙に感心してしまったり・・・。

さて、ロースの英文字はRose。バラのローズと同じだけれどもロースと発音するのだと思っていた。しかし、前述記念誌にその件についてこう記載されていた。

当初はバラと同じローズ先生といわれていたようなのだが、みんながスとズのネイティブ発音の区別ができなかったのか、ロースという名前で浸透していったようだと・・・。故に女史没後、彼女の功績を讃えて園名に名前を冠する時に、ロース幼稚園という名前になったとの記述があった。

(斎藤仁)