木村蒲鉾店
先日、(前回書かせていただいた)お好み焼き屋「源平」を訪れた時、源平のおじさんと「かまぼこ」の話で盛り上がった。
「小樽のかまぼこと言えば・・」
まず真っ先に出てくるのは、やはり「かま栄」であろう。
が、既に大横綱となってしまったがゆえ、「お惣菜」の域を超えてしまった感がある。
そこで、「もっと普段着のお店は」という話になり、僕は「大八栗原蒲鉾店」を提案したのだが、源平のおじさんが口にしたのは意外なお店だった。
「手宮市場」の「木村蒲鉾店」である。
そして、「あそこのしゅうまい揚げは絶品だ」と言う。
「源平」があるのは「南小樽」、なのに、おじさんが言う「木村蒲鉾店」は「手宮」である。
同じ小樽でも、かなり遠い。
それでも、おじさんは、ちょっとしたお土産にはそこのかまぼこを買って行くという。
熱い小樽人であるおじさんが言うんだも、間違いない。
さっそく行ってきた。
「手宮市場」がある場所は、正直、分かりにくい。
だけど、それでいいのだ。
だって、「地元の人」のための市場だも。
なので、駐車場がない。
もし、車で行こうとお考えならば、近くのコインパーキングに停めることを覚悟していただきたい。
中に入ると、そこは思いっ切り昭和である。
特に、昭和40年代を小学生で過ごした僕には、懐かしさでいっぱいである。
魚屋さんと、常連さんであろうオジサンとが長年の友達のように親しげに話している。
今や、こういう光景はなかなか見られない。
僕はひたすら「いいな、羨ましいな」と思ってしまう。
木村蒲鉾店は、そこから少し奥にあった。
行った時間が遅かったためか、ほとんどが売り切れていた。
だけど、ラッキーなことに「しゅうまい揚げ」だけが少し残っていた。
助かった。
さっそく買った。
そして、お店のおばちゃんに、
「おたるくらしで紹介していいですか」
と尋ねた。
すると、おばちゃん、
「あいよー、しっかりたのむよー」
と、こっちが笑っちゃうほどの愛想のいい返事をしてくれた。
なので、僕は「しっかり」紹介しなければならない。
「しゅうまい揚げ」というのは「焼売」を揚げたものではなく、「キャベツ、タマネギ、挽き肉をすり身に混ぜてシューマイの皮で包み、蒸してから揚げたもの」である。
1個80円、4個300円である。
安い。
しかも大きい。
もうね、ビールのおつまみには最高ですよ。
調べてみると、小樽にはこういった「地元の市場」が案外多い。
なので、木村蒲鉾店のように、地元に愛され続ける隠れた名店も多いことだろう。
札幌に住み、食材の99%をスーパーで調達する僕にとって、羨ましい限りである。
ちなみに、僕の残りの1%は、新南樽市場の深澤精肉店で買う「ジンギスカン用のラム肉」である。
(みょうてん)