小樽拘置支所跡
緑小学校での社会の授業で、校区内にある小樽拘置支所の説明を、担任の先生がしてくれたことがあった。
「青少年科学館の裏の建物知っているか? あれは拘置所というんだ。拘置所というのは、高倉健の映画で有名な網走番外地のような刑務所と違い・・・云々・・・」
映画やテレビの時代劇、西部劇なんかで牢屋の存在は、物心付いたころから知ってはいたのだが、鉄格子の監獄は警察署の中にあると思っていた。
しかし、警察署にあるのは留置所。裁判により刑が確定すると刑務所。その前、未決囚が収監されるのが拘置所と教えてくれたのだ。
校区内ということもあり、何度もこの建物の前を通ったことがあったのだが、高いコンクリート塀に囲まれ、窓枠に鉄格子がはめ込まれている様は、やっぱり非日常感満載で、そそくさと通り過ぎる事が多かった。さらに小学生の頃は、出入りする未決囚の姿はほとんど見たことが無かった。
時は流れ・・・。この近所に市民生協緑店(現在は富岡に移転)があり、そこで大学1年の秋から冬にかけての数か月、箱みかん売りのアルバイトをしたことがあった。その時に、いかにもその筋のおじさん、お兄さんたちがよく買い物に来ていたので、理由を先輩に聞いたことがあった。
先輩は、拘置所に入っているお仲間への差し入れを買っている様なのだと教えてくれた。さらに、数回接客したこともあった。昭和54年(1979年)の話しである。また、この頃手縄で縛られた未決囚数人を目撃したことがあった。車で護送させず、歩くんだとびっくりした事を覚えている。
この小樽拘置支所が老朽化ということで、平成27年(2015年)12月10日をもって札幌刑務所内にある札幌拘置支所に統合されたというのだ。ご覧のように1,2階の窓はコンパネが打ちつけられている状態だ・・・。
役所、民間含め小樽を含めた地方都市から合理化の名目で撤退するところが多くある昨今である。おそらく予算が付くと解体ということになるのであろうが、昭和37年(1962年)築、小樽拘置支所の最後の雄姿???を写真に収めさせていただいた。
(斎藤仁)