茜色の旧手宮線
旧手宮線を歩いたことがありますか?
観光客で賑わう昼や、飲み屋街が賑わう夜ではなく、その合間の夕暮れ時に。薄暗く、空気もどことなく冷えて、全体が澄んでいるような空間で、遠くを走る車の音と、自分が踏みしめる砂利の音とを聞きながら、月日が経ちでこぼこになってしまった線路の跡地を、落ちないようにと子供のように歩くのは、なつかしいようで、それでいて怪しい魅力に包まれているような、小樽で普段生活している時にはなかなか味わえないようなわくわくを感じます。
一人で気分転換がしたい、そんな時には着の身着のまま、夕暮れ時を狙って旧手宮線を散歩してみてはどうでしょうか?平坦な道が続いているので、何の心構えもなく気軽に楽しめるでしょう。
道の途中でベンチに座りながら、海の方を眺めてみるのもいいかもしれません。暗さが増すにつれて町に灯りが灯っていく様も、普段はなんてことのない風景であったとしても、その時の自分の目にはまた違ったことのようにうつり、同時に「ああ、いいな」という感想が脳裏に浮かぶのではないでしょうか。
夜が更けたら、線路を沿って並ぶお店でおいしいものを食べて帰るのもまたいいかもしれません。もちろん、不思議な心地のまま帰路につくのもいいでしょう。
小樽には、その歴史に裏付けされた魅力が各所に点在しています。ただし、その魅力は時刻によっても季節によっても、その他あらゆる要因に付随して見え隠れするのでしょう。あなたが動けば、小樽もまたあなたに魅力の一つを明け渡してくれるのかもしれません。
(高橋)