港湾部

port_chamber

 小樽駅からまっすぐ港に下りて運河を過ぎると、左手に港湾部の古い建物が見えてくる。
 正確にいうと小樽市産業港湾部港湾室という事の様だが、面倒なので、私たちは単に港湾部とか港湾と略称で呼ばせていただいている。

 私たちが主催している音楽イベント、おたる浅草橋オールディーズナイト、北運河サウンドエナジー、おたる歴史紀行音楽きこうの会場管理者がここということで、申請、摺合せ等々でちょくちょく顔を出させていただいている。

 さて、私のこの建物の最初の思い出は、忘れもしない昭和41年(1966年)の夏であった。小樽に移り住んだその年、父が誰に聞いたのか、小樽の花火大会は港で上がるからすごいよ・・・。

 ということで「みなとまつり」の花火大会を観るため、夕刻家族4人緑町の商業高校前地獄坂から、バスを乗り継ぎここまで下りてきたのである。これが花火大会はもとより小樽の港に初めて来た時の記憶である。

 当時はまだ真新しかった上部に展望塔があるこの建物、そして向かい側にそびえ建っていた旧合同庁舎の威容、さらになんといっても花火大会帰りの人の群れが、小樽駅方面に向かって歩いていく様は、深く記憶に残っている。

 この建物は昭和33年(1958年)開催の、北海道博覧会小樽会場の一部として、現在も第三ふ頭基部に残る上屋倉庫群共々建設されたという。平成28年(2016年)で築58年を迎えた。

 1階は、昔から祝津航路の発着待合所となっている。私も来樽されたお客さんと、何度か乗船したことがある。記憶の中では4-5回、10年に1回くらいの割合であるか・・・。

 平成23年(2011年)公開の映画、大泉洋主演「探偵はBARにいる」のラスト部分、大泉扮する主人公の探偵が、この待合室で長時間にわたって小雪扮するススキノの高級クラブママに待たされるシーンが映画の重要な部分となっている。映画で観ると、とても趣のある建物に映っていた・・・。

 余談だが、写真右側に映る丸い花壇が、昭和42年(1967年)から始まった「おたる潮まつり」の最初のステージの場所だというから驚きだ。

(斎藤仁)