大和屋 花園店

yamatoya

サンモール商店街を抜けるとすぐ、寿司屋が多く立ち並ぶ寿司屋通りがある。その中の大和屋 花園店はわたしが大学生活の中で最も頻繁に食べに行くお店である。

というのも私の所属している小樽商科大学合気道部の行きつけであるからだ。新入生歓迎会から卒業コンパまで部員はメニューを全て覚えるほど通う。

1階にはカウンター席や小上がりがあり、2階、3階が団体客用になっている。私たちはいつも3階の大部屋を予約する。そしていつも同じ宴会のメニューを食べる。多いときには月に2回だ。

しかし、何度行っても飽きないのが不思議である。先輩後輩と和気あいあいと話がはずむうちに刺身、酢の物、天ぷら、そして寿司といつの間にか食べすすめあっという間に無くなっているのである。この贅沢な宴会は、他の大学の人には驚かれるものである。

部活のOBやOGが行事で大和屋へ来た時に口をそろえていう言葉は「懐かしい」である。
懐かしさと共に思い出話に花が咲く。思い出とともにこのお店がいつもあるからだ。

なぜ宴会は寿司屋という伝統が始まったかは不明である。しかしこの伝統をやめないのは、小樽の海の幸を堪能できるのはもちろん、それを懐かしく思う先輩方がいるからでもある。

ところで小樽観光の代表的な食、小樽と言えば寿司という文化がわたしたちの世代にとって当たり前である。外国人の観光客も増えた。小樽へ来る友人はほぼ全員が美味しい寿司屋を聞いてくる。

一方で生粋の小樽人である親戚は言う。
「久しぶりに友人と会うとき、家族の誕生日などに寿司屋へ行く」
日常的に、少し特別な日、思い出にしたい日などに小樽では寿司屋という寿司文化がこっそりと存在しているのではないか。観光地の食べ物という以前に、地元の方の「行きつけ」であったり日常が含まれているのではないか。

わたしは生粋の札幌人であるが、大和屋に通うことで少し小樽の食文化に触れることが出来たのではないかと思った。きっとわたしにとっても大和屋 花園店は大学生活の思い出の場所となるのであろう。

(石田)