伊佐美屋本店

isamiya

突然ですが、あなたはうどん派ですか?そば派ですか?

私は西日本の出身なので、小さい頃から食べ慣れたうどん、特に透き通った黄金色の出汁の温かいうどんが好きです。けれども、北海道に暮らして10年になる今では、「やっぱりそばかな」という気もします。どちらもおいしく、甲乙つけがたいものですね。

北海道は、鹿追、新得、幌加内など、有名なそばの産地があるので、断然そば店が多いです。小樽でも、町を歩けば、そば店がとても多いことに気がつくと思います。

数ある小樽のそば店の中でも、私がよくお邪魔するのは、国道5号線の花園のグリーンロード近くにある「伊佐美屋本店」です。
昭和11年創業と、小樽のそば店の中でも二番目に古い老舗です。創業者である一代目の後を娘夫婦が受け継ぎ、現在は二代目の御子息である三代目の店主が、店を切り盛りしています。

店内には、創業当時の伊佐美屋とその近辺の様子の写真が飾ってあります。写真は小樽市立図書館所蔵の貴重なもので、「舗装竣功ノ第二大通 公園大通ヨリ入舟町十字街ヲ望ム」と記してあります。全てが目まぐるしく変化した時代の中で、長くそこに在り続けるということの偉大さを感じずにはいられません。

一代目が、「働く人のために、安く、おいしいそばを」と始めた志を受け継ぎ、卸の業者の方も感心するほどいい素材を使って作っているという出汁で作ったそばつゆは、深い味わいがありながら、すっきりとした素晴らしいお味です。

また、そばにもこだわっていて、道産の石臼で挽いたそば粉を使い、店主が毎朝打つそばは、シャキッとこしがあり、すすればそばの香りが立ちます。数量限定の二八そばもお勧めです。
保存料や化学調味料は一切使用しておらず、安心して食べることができます。今時本当に貴重だと思いますが、そこを声高に主張しないところにも、老舗の奥ゆかしさを感じます。

そばの魅力だけでも十分なのですが、カツ丼やラーメンなどもおいしく、人気のメニューです。

表からはわかりにくいのですが、裏手に駐車場もありますよ。

(川)