小樽バイン

otarubine

 長らく建物すべてが中央バス本社だった、旧北海道銀行本店(現在の北海道銀行とは関わりがない)が平成8年(1996年)、小樽ワインと共同での飲食店「小樽バイン」に生まれ変わった。ちなみにバインはバスとワイン、そしてバンクも加わっての造語と聞いている。

 この建物は、向かいの日銀小樽支店を実質一人で設計監理したと言われている、長野宇平治博士設計、日銀と同じ明治45年(1912年)築の歴史的建造物である。

 日銀建築の歴史には日本近代建築の礎を築いたと言われる辰野金吾博士の名前が出てくるが、学術界によくある「実は弟子の業績・・・」的な話であると、小樽市内の一級建築士、小西誠一先生にうかがったことがある。

 さて、ここは小樽の歴史的建造物を利用した人気飲食店として、既に20年近い年月が経過している。この小樽バインは観光客のみならず、小樽市民にも愛され、歴建活用の成功例のひとつに数えられるのではなかろうか。私の教室の生徒さんは、午前中の団体レッスン終了後、毎週どこかで今流行の女子会を開くが、月一のペースでここのランチメニューを取るのが定番コースとなっているようだ。ダンスレッスンより、みんなとのランチがメインという方も結構いるようだ・・・。

 私も年に何度か訪れる機会がある。一階レストランでは、不定期だがいろいろなジャンルの企画ライブコンサートなども開催され、仲間のバンドやミュージシャンが出演した時などに、応援かたがた食事に行くことがある。

 昨年11月には、今年度の潮陵記念館コンサート第1回実行委員会で、地下の金庫室を利用した宴会場に初めて入った。何しろ金庫室だったところである。天井は少々低く、多少の圧迫感はあるが、歴史を感じながらの食事は、なかなか乙なものであった。

 海側にあたる北のウォール街交差点、山側の旧手宮線緑地のどちらから眺めても、ここを含む旧銀行街は新築の本局、職安を含めても、とても素晴らしい景観を有している。

 掖済会病院がこの景観地域から稲一再々開発の場所に移転した後、何になるのだろうかと少々不安であるが、景観条例があるのでまさか中高層マンションにはならないと思うが・・・。

(斎藤仁)