大家倉庫

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 昭和54年(1979年)小樽夢の街づくり実行委員会作成の「小樽名建築番付カレンダー1980」なるものがあった。東西の正横綱は博物館(現在の旧日本郵船小樽支店)、日本銀行支店(現金融資料館)、張出横綱に小樽倉庫(現運河プラザ)、旧手宮機関庫と記載されている。

 大家倉庫は、川又商店、中央バス本社(小樽バイン)、三井銀行と共に大関に番付けられている。ちなみに関脇は罐友会館(旧越中屋ホテル)、にしん御殿、青山邸、銀鱗荘、公会堂なとが番付けられ、合計で42棟の小樽市内有名建造物が名を連ねていた。

 もちろん、建造物に番付など存在しないし、建築学や歴史的な事はともかくとして、好き嫌いは個人の感性の問題である。

 しかし、順位付けが大好きな日本人の感覚として、というか私の感性が単純なのか、大家倉庫の見る目が変わってしまった。そう、他の石造倉庫より常に上に見るようになってしまったのだった・・・。

 さて、ずっと使用されずに臨港線沿いに鎮座しているこの大関「大家倉庫」が、バブル真っただ中の平成4年(1992年)に、小樽トーイズというブリキのおもちゃ博物館として再利用されたことがあった。既に20年以上前の事である。

 息子がまだ幼稚園の頃で、件の大家倉庫がやっと再利用されると、休みの日、勇んで家族で二~三回出かけたことがあった。

 甘いキャンディーの匂い漂う店内には、大型の車だったか・・・、プロペラ飛行機だったか・・・、まあいろいろな種類のおもちゃが博物館よろしく展示されていた。微かな記憶ではおもちゃ屋さんはもちろんのこと、お菓子屋さんもあり、フードコートもあったような・・・???

 ほどなくバブルは弾け、この小樽トーイズも閉店の憂き目にあい、そのまま扉は閉められたまま現在に至っている。その後も経年劣化による外壁、屋根の修復を実施しているというが、利用されない状態でのコスト増は、他人事ながら心配の種である。

 さあ、小樽運河の中ほどにある、大関に番付けられた明治24年(1891年)築の木骨石造倉庫、誰が再利用してくれないかなあ・・・。

(斎藤仁)