ミレット

millet

 花園銀座三丁目商店街、通称花三(はなさん)入口に小樽の人気老舗喫茶店「ミレット」がある。ちなみに確認のため、花園銀座街商店街、通称花銀(はなぎん)が寿司屋通りから公園通りまで、その先公園通りから花園グリーンロードまでが花三なのである。

 ミレットは最初、現在地のすぐそば公園通り沿いにあった。そこから同じ公園通り若鳥のなるとの隣、今度は花三の元小樽製パン二階喫茶店跡に一年ほど仮住まいしてから、現在地に移ってきた。店舗スペースはどんどん大きくなっていった。

 どの店にもおじゃましているが、いつの時代も常に常連客などでいっぱいだ。現在の建物は、地元の古老のお話しだと、麻田百貨店というお店が戦前から入っていたようだ。もちろん百貨店といっても大規模でなんでも揃うお店というわけではなかったようだ。当時百貨店、デパートと名乗る小売店が小樽に10軒ほどあったというので、その一つという感じだろう。

 私が知っている昭和40-50年代は地方出張販売主流の紳士服小売店だった。岳父も職場に売りに来た背広を買ったことがあると言っていた事を思い出す。

 その後、しゃぶしゃぶのお店になり、そこが倒産し放置されていた後にミレットが入るわけだが、権利の問題ですぐに入店できず、前述仮住まいということになったようだ。

 さて、小樽には最盛期200軒以上の喫茶店があったそうだ。ちなみに現在は70軒強、3分の1に減ってしまった。そんな中、ミレットが変わらず人気があるのは、喫茶メニューはもちろんの事、お食事メニューも大変充実している。また、ボリュームもあり、老若男女問わずランチの人気店となっている。

 店は創業者の坂田夫妻が切り盛りしていたが、最近は二代目になる息子の章さんを中心に仕切っている。坂田夫妻は齢80を超えているが、特に奥さんは、まったく年齢を感じさせず元気に店に出ている。章さんは元ゴルフのレッスンプロで私も習っていたことがあった。ゴルフクラブを包丁に持ち替えたということになろうか。

 余談だが、札幌出身のシンガーソングライター大黒摩季が中学生の頃から、一家で水天宮の初詣に来る時、毎年ミレットに寄っていたと教えてくれたことがある。上京後もたまに顔を出すと言っていた。ミレットに行くといつか会えるかも・・・、と思ったりしている。

(斎藤仁)