ミルク・プラント
小樽公園入口そばにミルク・プラントという小樽で一番有名なソフトクリーム屋さんがある。私たちが子供の頃は、ミルクホールと言っていた。更にそれがいつのまにかミルクファームになり、今はミルク・プラントと名前が変わっている。
ここは、昭和11年(1936年)、小樽の5人の牧場主が集まり、小樽保証牛乳本社工場として建立された。翌昭和12年、小樽公園で開催された北海道大博覧会でも、大変人気を博したと記録されているが、ソフトクリームが日本に上陸したのは戦後の昭和26年なので、博覧会での人気商品は、アイスキャンディー、牛乳飲料ということになる。
私の通った小中学校給食は、明治、森永、雪印等の大手乳業メーカーではなく、保証牛乳だった。聞いたことのないメーカーだったが、「保証」という名前が、子供心に妙に安心感を与えた。
保証牛乳は、昭和44年(1969年)、札幌と小樽の中間点、桂岡に工場を新設したことにより、ここはミルクホールと呼ばれる、保証牛乳直営の季節限定ソフトクリーム販売所となった。
子どもの頃は、敷居が高くあまり行ったことはなかったが、学生時代の海水浴帰りに、札幌の友人達をよくここに連れてきた。
「ここのソフト、うまいべ」
「いやー、美味しいわ、小樽にこんなところあったんだな」
「そうだべ、そうだべ」
私は、ふるさと自慢にご満悦だった。
今から30年前、ここのすぐ下に、私は最初のダンススタジオをオープンさせた。夏になると生徒さんは、手土産にソフトクリームをよく買ってきてくれた。重なる時は重なるもので、一日5本位、食べていたこともある。乳脂肪分が多く美味しくて、食べ飽きるなんてなかった。
今は教室も、小樽駅前のビルに移転し、ソフトクリームの手土産もなくなったが、名物、高さ30cmを超える巨大ソフトクリーム「NYジャンボ」を一年に一回チャレンジし、美味しく完食している。
(斎藤仁)