ニュー三幸

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1954年、今から60年前、小樽に今なお市民の喉を潤す生ビールと、変わらぬ味を守り続ける洋食レストラン「ニュー三幸」が開店した。今年、創立60周年をめでたくむかえたわけだ。

私が小樽に越して来た昭和41年から、外食が今ほど一般的でない時代、年数回、家族でここに来るのが一番の楽しみだった。

写真の建物は三代目。最初の建物は現在地に、現在より小規模な、当時では珍しい3階建てだった。1階がビアガーデン、2階が洋食レストラン。家族連れは、大きな階段から2階へと上がるわけだ。2階からも、奥側に狭い階段があり、ウェートレスさんが行き来していたので、3階にも客席があったようだ。

注文するものは、AランチかBランチ、記憶が定かでないので、Aセット、Bセットだったかもしれない。金額は700~800円だったと思う。スープに始まり、肉料理、魚料理等コースになっていた。

注文すると、たくさんのシルバー食器が縦横に並べられ、初めての時は、これがテレビで見る都会のレストランかと、子供心に胸躍らせたものだった。

「コンソメにしますか、ポタージュにしますか」
「パンにしますか、ライスにしますか」

「ポタージュとパンでお願いします」
と父親が答えている姿に、大衆食堂で、ラーメンかライスカレーしか食べたことのない自分にとって、何か異次元な雰囲気を感じていた。

フォーク、ナイフを外側から取っていくこと、スープ皿の手前を持ち、向かい側にすくっていくマナーもここで両親から学んだ。なんか自分だけが特別な存在になったようで、少しだけ大人になった気分を味わうことができた場所だった。

今でもプライベートを含め、いろいろな団体の懇親会等、訪問することも多い。さらに所属する団体で、毎週ランチも食している。

前述のA、Bランチは、メニューから無くなって既に久しい。

(斎藤仁)