山越え・家越え

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 小樽には、天狗山、朝里、銭函とスキー場がありますが、我が家は最も近い天狗山が行きつけの山です。
 以前、天狗山で滑っていた義母が、東京から来たスキーヤーに、どこから来たのか尋ねられ、
「自宅はここから車で5分だ」
と言うと、心底羨ましがられたそうです。
 確かにスキーヤーにとってはこれ以上ない環境かもしれません。

 小さいころから熱心に基礎スキーをやってきた夫は、
「天狗山で滑れれば、どこの山も怖くない。」
と言います。確かに、私にとって新コースなどは崖にしか見えません。崖を滑れるんだったら、どこでも滑れるのでしょう。

 夫は小学生からスキーに没頭し、O.C.C(小樽スキー連盟の育成強化チーム)に入り、平日は学校が終わってから、休みの日は朝10時から、山が閉まる夜9時まで練習していたそうです。
 一日中滑っていても、まだ滑り足りない気持ちがあったらしく、練習が終わると、仲間と、「今日山越えする?」
と声を掛け合い、一緒に帰っていたということです。
 

 この「山越え」という帰り方、積雪不足などにより、今は閉鎖されていることもあるダイナミックコースが、当時はいつもオープンしていたため、そこから道なき山の木々の間をくぐり抜け、民家の軒先を縫って、家までスキーで帰るという方法です。かなりやんちゃですが、これがとても楽しかったと言います。
 今の小学生なら決して選べない方法ですが、当時は今より子どもが自由だったのかもしれません。

 また「家越え」と呼ばれた帰り方もあり、こちらは最上のバス通りの歩道をスキーで駆け下るというやり方。たまに勢い余って道路に飛び出てしまい、アスファルトとスキーのエッジがこすれて火花が散る、なんていうこともあったそうです。あぶないあぶない…。

 さて、今、もしそんなことができるとして、自分の息子にやらせてやることができるか…。そして、実は小心な彼にそんな大胆なことができるのか…。

 「かわいい子には旅をさせよ」の実践は、一筋縄ではいきません。

(川)