入船陸橋と十一坂
入船十字街から入船通りを海に向かって下っていくと、正面にJRの陸橋が見えてきます。
この陸橋は入船陸橋と呼ばれていて、ここをJRの列車が走る様子は見慣れた日常の光景ですが、この陸橋は、明治13年に手宮からの幌内鉄道が開通した当初からあったものだそうです。
最初は木製だったそうですが、その後レンガに改築され、現在の橋脚のレンガも明治の後期に造られたものだそうで、実際にこの陸橋の下を歩いて見てみると、年季の入った橋脚のレンガにその歴史を感じてしまいます。(だって、もう100年以上経っているということですよね)
ところで、今回掲載している写真は、列車がこの入船陸橋の上を走っている様子を写してますが、なかなか面白い角度からの眺めですよね。
ちなみに、この位置からの写真を撮るために、入船陸橋のすぐ山側にある、線路と平行した狭い坂道を上ってきてるんです。
実は、この入船通りから脇道のように上っている坂道には名前がついていて、「十一坂(じゅういちざか)」と呼ぶそうです。
私もまさかこんな小さな坂に名前がついているとは思わなかったのですが、小樽市のホームページ内にこの坂についての記述がありました。
それによると、この坂道の名前の由来は、近所に「十一荒木」という造り酒屋があったことによるそうで、入船と花園をつなぐ近道として明治時代から使われていたようです。
また、坂のある線路脇の高台も、そこから十一山と呼ばれているそうで、今回の写真もその十一山から撮ったことになるんですね。
そうそう、よく知られた昔の写真で、幌内鉄道の開業直前の記念写真として撮影された、橋の上の機関車の写真があるのですが、それはこの入船陸橋の上で撮影されたものだそうですよ。
普段、何気なく目にしている入船陸橋とそこを通る列車ですが、ここにはそんな歴史があるとは、何やらこんなところにも、小樽の歴史を感じてしまいます。
参考:小樽市HP内 広報おたる連載「おたる坂まち散歩」の「第29話 十一坂(前編)(じゅういちざか)」「第30話 十一坂(後編)」より。
写真:小梅太郎の「小樽日記」
(小梅太郎)4/9記