今も昔の姿を残す北運河
小樽観光のシンボルともいえる、いつも観光客で賑わう小樽運河。
散策路や街園が整備され、周囲の倉庫群とともに、その景観は皆さんお馴染みですよね。
その小樽運河で観光客が集中しているのは、運河に架かる浅草橋から中央橋の区間で、そこでは多くの観光客が記念撮影をして、運河沿いの散策を楽しんでいます。
ただ、運河は中央橋から北側(手宮方面)にも続いていて、運河沿いの散策路も引き続き整備されているのですが、そちらは何だか急にひっそりしていて、歩く人もまばらです。
この先がどうなっていて、何があるのかよく知らない、ということで歩く人も少ないのかもしれませんが、実はここから北側の運河の風景も、なかなかどうして味わい深いんですよね。
まず、中央橋から賑わいを離れて静かな散策路を北に、次の竜宮橋まで歩くと、その先で運河の幅が広くなっているのが見えてきます。
ここから先が「北運河」と呼ばれるエリアで、幅は40mと昔のままなんですよね。
かつての運河の埋立てを巡る論争の末に幅半分を埋め立てた際、北側はそのままの状態で残されました。つまり、幅が広くなるところからは、昔の運河の姿を残しているんです。
現在の北運河は、そんな運河論争があったことなど、更には今現在、運河の南側が人気の観光スポットで賑わっているとさえも忘れてしまうくらい、ひっそりと静かな時間が流れてます。
その北運河の海側には、歴史ある北海製罐の工場と倉庫が建ち並び、周辺には古い石造りの倉庫もたくさん残っていて、小樽市の歴史的建造物に指定されている建物も多くあります。
北運河の端まで行くと、落ち着いた雰囲気の運河公園があり、その奥には重要文化財の旧日本郵船(株)小樽支店の堂々たる姿も見ることができます。
どうでしょう、小樽運河にきた際には、賑わいを離れて北運河まで足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。そこには、昔の小樽の面影が残ってますよ。
さて、帰りは北運河を戻るか、そうだ、最近、旧手宮線の線路跡の遊歩道がここまで伸びてるので、線路跡を歩いて市街地まで戻るのもいいですね。
写真:小梅太郎の「小樽日記」
(小梅太郎)