景勝園
張碓峠にあった景勝園を読者の皆さんは覚えているだろうか・・・。
小樽と札幌の中間点にある張碓峠の頂上、海抜150mほどの高台に景勝園はあった。
景勝園は、昭和32年(1957年)、小樽、札幌で料理屋を数店経営していた杉ノ目が、ススキノで経営していたジンギスカンの名店「山小屋」のジンギスカン料理が食べられるお店としてオープンしている。
石狩湾を一望できる最高のロケーションという事もあり、昭和35年(1960年)にはホテル景勝園として再出発。当時人気絶頂だった読売巨人軍の7月札幌円山球場での北海道遠征時、このホテル景勝園を定宿としていた時もあったようだ。
川上監督以下、長嶋、王、柴田、土井、広岡、金田、堀内等往年の名選手達が、ここでジンギスカンに舌鼓を打ったのだろうか。
しかし、昭和45年(1970年)、漏電による火災で建物が全焼。高級ホテルとしての栄光は10年という短い期間で終わりを告げた。翌年ただちに再建し、開店当初のジンギスカン専門店として再出発。この時代に私もジンギスカンを食べに何度が足を運んだことがあった。
石狩湾を望む大きな小上がりに、磯舟型のテーブルをいくつも配置し、単純明快北海道名物ジンギスカン鍋を食するというものだった。
時が過ぎ、火災から再建した店舗にも経年劣化が多々見られ、長期休業状態は今も続いているが、再開の見込みはほとんどない。
長らく閉まっていた静屋通りにあったキャバレー現代が、平成24年(2012年)10月解体される事となった。景勝園と同じ会社が経営していたこともあり、解体後、景勝園の横に再建されると新聞報道され、小樽市民は安堵していた。
ロケーションの良い張碓峠に再建されるなんて最高だ!!!と思ったものだが、キャバレー現代の解体工事を見ると、それは単なる希望的な戯言だったとすぐに理解できた。
写真をご覧のように景勝園は、JRバスの停留所としてのみ名前が残っている。ここは、しっかりとした風防もあるバス停であるが、景勝園以外何もない峠。このバス停からは乗る人も降りる人もいない・・・。
(斎藤仁)
—
※本記事の内容は2020年7月時点の情報に基づいたものです。
—