旧ゴミ焼却場

 写真に写るのは、小樽市の旧ゴミ焼却場である。ここは勝納川沿いの天神2丁目。ここがとうとう解体されると広報おたるに記載されていた。

 この旧焼却場は昭和42年(1967年)から稼働し、小樽市内で発生する燃やせるゴミを焼却し続けていたのだが、ほどなく小樽市では燃やせるゴミの容量がパンクし、燃やせるゴミと分別していたものも奥沢(ワインの丘パークゴルフ場の下側)や、塩谷(伍助沢五差路の天狗山と塩谷の間の道の奥)のゴミ埋立地に埋め立て処理されていた負の歴史がある。

 平成11年(1999年)、小樽青年会議所環境委員会のメンバーだった私は、小樽市役所環境部廃棄物処理課との会議で、まだ家庭から出るゴミ処理が無料だったその時代、燃やせるゴミの埋め立て処理を市民に隠している見解を尋ねた。それに対し小樽市側は、将来新焼却場ができてから、急に分別を開始しても、混乱するので今から実施している。なんとも市民をコケにするような答えをいただいた・・・。

 そして、ダイオキシン等の環境基準に合致しなくなってからは、完全に稼働を停止した。それにより、小樽市内から排出される燃やせるゴミも、燃やせないゴミも同じように埋め立て処理されていたというわけだ。

 そんな平成11年(1999年)秋、時の環境庁から衝撃の発表が新聞紙上を賑わせた。大気中のダイオキシン濃度が日本で一番高いのが、小樽市新富町の勝納川にかかる真砂橋付近だというのだ。

 上流にはこの旧焼却場があり、これが原因かといきり立ったものだが、再調査の結果や、この旧焼却場を検査してもダイオキシン濃度は基準を下回ったというオチが付いた。

 じゃあ、あの環境庁データはなんなんだとなったのだが、人の噂もなんとやらで、いつのまにか忘れ去られてしまった。また、それ以前より新富町界隈での環境被害等の報告もなかった事も忘れ去るには好都合だった。

 現在の小樽市は、桃内に平成19年(2007年)3月に新設された北しりべし広域ごみ焼却施設が完成し、翌年平成20年(2008年)4月から本格的に稼働するようになり、燃やせるゴミはすべてダイオキシンが発生しない溶融炉で焼却している。燃やせる、燃やせない、資源、プラ等の分別も徹底的に行っている。

(斎藤仁)


※本記事の内容は2020年5月時点の情報に基づいたものです。