ひょっこりオタルネコ

 なんかいるな…それは道路の中央をテクテクと歩いていた。真っ白な毛並みにフサフサのしっぽ。

 あ、猫だ。
 これが自分とオタルネコとの初めての出会いだった。

 小樽商科大学からJRの小樽駅に通じる坂を歩きながら見ていると、その猫は意外にもこちらによって来た。自分の住む札幌ではササッと逃げてしまうのに。
 歩いていた足を止めてたたずんでいると、その猫は自分の足元まで来ると丸くなり、みゃ~おと体をスリつけてくるではありませんか。可愛いなと思い自分も座り込むようにして猫に顔を近づけてみると、そこにはまんまるのおめめとフサフサのみみをした愛くるしい姿があった。
 調子に乗って頭を撫でてみよう手を伸ばしても逃げていかない。ポンッと手を頭に乗っけてみると猫は目をつぶって気持ちよさそうにしている。そんな姿を見ていると日頃から溜まっていたストレスや疲労が飛んでいくようだった。

 猫飼いたいなぁ…
 そっと猫に話しかけていた。

 そんなこんなしていてふっと周りを見てみると、誰もこちらを気に留めて見ている人はいない。通り過ぎていく人いく人がまるで何も起こっていないように、普段の日常を送っているように見えた。それは時間に追われて周りを気にしていられない都市部とはまた異なる雰囲気に感じられた。

 小樽では普通のことなんだな。
 猫に別れを告げ、坂を下りながらにそう思った。

 それから他にもいろいろな猫にあった。小樽の街には結構な数の猫がいるみたいで、色々なところで見つけることができる。塀の上を歩いていたり、民家の前で眠そうに丸くなっていたり、林の中から急に出てきたり…

 小樽を訪れることがあれば、たくさんある観光名所を回りながら、猫を探してみても楽しいかもしれません。
 夕日のきれいな小樽の海を、坂の上から見下ろしながらに今日もまた帰っていく。今度はどんな猫と会えるのかを楽しみにしながら…

(F1or4)


※本記事の内容は2019年7月時点の情報に基づいたものです。