深夜12時のパフェ

 「コロンビア」と聞けば、大概の人はアウトドア用品を扱うブランドであるColumbiaを思い浮かべるだろう。しかし、おたるでは喫茶店コロンビアを思い浮かべる人も多いだろう。

私は大学進学に伴って小樽で一人暮らしを始めた。小樽の土地勘もないのに親元を離れての一人暮らし、不安でいっぱいだった。
そんな生活を始めて何週間か経った頃、私は喫茶店コロンビアに行き、そして虜になった。コロンビアに入った瞬間、どこか安心感を得たのだ。

 喫茶店コロンビアは花園に位置する60年以上の歴史を持つ老舗である。店内には骨董品が並べられ、レトロなソファーが置かれている。なんといっても天井のシャンデリアには圧倒される。
 そうした歴史のある店内に魅了された私はコロンビアに通いつめている。そして喫茶店と聞くと年配層が多いイメージかもしれないが、お店の中にいると、若い子がいたりなど、幅広い年齢層の声で賑わっていると感じる。

 間違えて超大盛を注文してしまったかと、錯覚するほどのボリュームを誇るソースカツ丼は、地元の学生から大人気である。二層からなるサックサクのアップルパイと、コーヒーのセットは、女性から支持を得る。生ビールやベーコンピザ、そしてフルーツたっぷりのプリンアラモードは、社会人層の心をつかんで離さない。
 また、クリームぜんざいを頼まない中年女性は存在しない。ダンディーな男性はアメリカンコーヒーを好む。私個人の話でいえば、初めてコロンビアに行ったときに食べたチキンドリアが、今でも大好きだ。
 このような豊富なメニューが、喫茶店コロンビアのリピーターを作り出す。

 そんな中、特に年齢を問わず注文されていると感じるのは、チョコレートパフェだ。中身はぎっしりと詰まっていてボリュームがあり、満足度が高い。日中はママさん世代、学生によく頼まれる。
 しかし、夜になるとサラリーマンがお酒を飲んだ後締めパフェとして食べに来るのだ。札幌の締めパフェも魅力的だが、数十年も前からコロンビアにはこの文化がある。もしかしたら締めパフェという文化は、小樽が発祥の地なのではないだろうか。

 こうして、喫茶店コロンビアのチョコレートパフェが様々な世代に愛されるのは、コロンビアの営業時間が深夜12時までだからだろう。
 そんな時間に食べる罪深いパフェは、どれだけおいしいのだろう。

(マルコ)


※本記事の内容は2019年6月時点の情報に基づいたものです。