今や急ではない坂
小樽と言えばどういうことをイメージするでしょうか。歴史ある街だったり、オルゴールやガラス細工、海鮮丼が有名だったりといろいろなことが挙げられます。
ほぼ毎日小樽に通っている商大生なら思うことは、観光客が多く、そして何より坂が多いということ。そして観光客が賑わうところというと、小樽堺町通りにあるメルヘン交差点だと思われます。そのメルヘン交差点に続く観光客で賑わう町と静かな住宅街をつなぐ三本木急坂にはぜひ行ってもらいたいです。
三本木急坂はかなり有名とは言えませんが、非常に興味深い坂です。
オルゴール堂の横を上る坂で、続く先には南小樽駅があり、観光客が多く通ります。小樽に数ある坂道の中でも、「急坂」と名がつくのはここだけですが、奇妙なことに、この道の勾配はわずか8%で、商大生を苦しませている地獄坂よりも緩やかなのです。
今は急ではありませんが、かつては雪が降ると登れなくなるほどの急な坂だったそうです。そのために、小樽郡役所では、2回にわたり道路を2メートルずつ切り下げて、今の緩やかな坂になったようです。
そもそも三本木急坂の三本木という名は、坂の中腹に三本のアカダモ(ハルニレ)の大木があったことに由来します。この木は、明治18年の切り下げで伐採されてしまったそうですが、海を渡る船乗りたちのいい目印になるほど立派なものだったそうです。
行ってみるとわかりますがほんとに緩やかで観光客が多く、そこからメルヘン交差点を眺めると小樽の賑わいを肌で感じることができます。
坂道の途中には、小樽市指定歴史的建造物の老舗の料亭「海陽亭」と「猪股亭」が建っていますが、おそらく古くから多くの人が上り下りしてきたのだと思われ、坂にもまた歴史ありという感じでした。
今や急ではないが、かつては急で、そして著名人も歩いた坂の道。この三本木急坂から観光客、地元の人たちで賑わう小樽、また歴史を感じに歩いてみてはどうでしょうか。
(はるとり)
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※本記事の内容は2018年7月時点の情報に基づいたものです。
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