大自然の宝庫

 海というと何を思い浮かべるだろうか。砂浜に打ちつける波のザパーンという音、魚が見えるほど透き通ったエメラルドグリーン、それとも昔青春した時に見た水平線に沈む真っ赤な夕日?
 私はこう聞かれたら、思い出す景色がある。それは小樽の海だ。その落ち着き、すべてを受け止めてくれる包容力、優しさ。いつでも戻ってきていいよと言われている気がする。そんな、人に抱くような感情を、初めて自然に対して抱かせてくれたのだ。

 実はそんなに魅力的なのは海だけではない。小樽はたくさんの大自然に囲まれた街なのだ。ぜひ、これを読んでいるあなたにも、その虜になってもらいたく、書き進める。

 さて、小樽の景色を高台に登らなくとも一望できる、最高な場所を紹介しよう。南小樽駅から海を目指して歩くこと15分、釣り人たちを横目に、小さな橋を渡るとある「かつない臨海公園」だ。観光客で賑わう堺町通りから少し外れただけで、こんなにも人けがなく、時の流れがゆっくりで、心が洗われる場所があったのかと驚かされる。

 この公園に足を踏みいれると、一面に広がるのは緑。とにかく緑。見渡す限りの木や草原。そして公園の中の小坂を下ると、目の前に広がる海に手が届きそう。さらにそこから築港の方を見ると山が、さらに小樽駅の方にもまた山が。この公園は、遊具こそ存在しないが、いるだけでありとあらゆる小樽の自然が感じられる公園なのだ。

 そして、この公園のもう一つの魅力は、観光地から近いこと。堺町通りで美味しいお土産を買い、旅の話をしながら歩く。そして、大きな海と山を前に公園のベンチに座って、それを広げて食べる。素敵なお土産と大自然のコラボレーションは最高だ。そこには、壮大なのに優しく、どこか懐かしい自然がつくる、穏やかな時間が流れる。

 観光地から外れた、緑に囲まれているからこその澄んだ空気に、沿岸の街特有の潮の香り。大空を飛ぶカモメの声、大きなフェリー。また明日から頑張ろうと思える活力を、この小樽の大自然からもらうことができるはずだ。そしてあなたはまた、この街に戻ってきたくなるだろう。きっと。

(きゆ)


※本記事の内容は2018年7月時点の情報に基づいたものです。