宗圓寺
宗圓寺は、潮陵高校の上、潮見台の急な坂道を上って行ったところにある曹洞宗のお寺である。五百羅漢のあるお寺と言った方が解りやすいかもしれない。
この潮見台の急な坂道、潮見が丘と呼ばれるこの一帯には、車一台通るのにやっとの道路が、丘全体に縦横無尽に張り巡らされていて、この宗圓寺へは国道からも、潮陵高校側からも、はたまた若竹側からも行く事ができるのである。
宗圓寺の存在は、私も五百羅漢のお寺として中学生の頃から知っていた。潮陵高校に入学した40年以上前の事、興味から友だち数人とこの急な坂道を上り、寺前まで行ったことがあった。
当時から、道路のいたるところに矢印付きの五百羅漢宗圓寺と書かれた立札があり、辿りつくのは容易な事だった。そこは、古い一般住宅のような比較的小ぶりの佇まいで、この中に五百もの羅漢像があるのかと、ちょっと拍子抜けだった記憶が残っている。
宗圓寺は、寛永7年(1630年)松前にて建立されたのを起源とする。明治42年(1909年)、小樽在住の松前出身者がお金を出し合い、寺の部材を解体し、羅漢像と共に、船で移設させたということだ。
今考えると、新築の方が安上がりと考えがちであるが、当時、寺の移設と言うのは日常茶飯に行われていた事で、宗圓寺だけが特別に行ったことではないようだ。部材に墨書きし、再度組み立てやすくするというノウハウも江戸時代より確立していたようだ。日本古来のもったいない精神が息づいていると感じる。
さて、この木造五百羅漢は、平成6年(1994年)2月、北海道指定有形文化財となっている。515体ある五百羅漢像は、ほとんどが江戸時代中期以降の作。ただ、戦国時代の物も11体あると確認されている。
近年、宗圓寺は改築され、ご覧のように近代的な鉄筋コンクリート造りになり、五百羅漢見学者も増えたと聞く。拝観料は無料で冬期間を除きいつでも見学できるのであるが、お賽銭が羅漢像保全に使われるとの事。
そういえば数年前になるが、この宗圓寺前の急坂で、TOKIOのメンバーがそり滑りをした姿が、テレビで放映されていたのを思い出す・・・。
(斎藤仁)