職能大学
小樽市民にあまり知られていないというか、あまり馴染みのない大学が銭函にある。銭函の大学というと、桂岡にあった北海道薬科大学を想像する方も多いが、その薬科大は、同系列の北海道工業大学と一緒になり、北海道科学大学として手稲に移転している。
今回ご紹介する職能大学は、正式名称北海道職業能力開発大学校といい、文科省が管轄する一般の大学、北大、小樽商大、学園大等と違い、全国に10校ある厚労省所管の大学校という事である。しかし、受験に際してはこれら一般大学同様、高校卒業資格を有する事が条件となっているようだ。
文科省以外の国が運営する大学校というと、防衛大学校、気象大学校、海上保安大学校などが有名であるが、大学も大学校も世間的にはどちらも高校の上の高等学習機関なので、我々一般市民にとって区別はさして付かない。ただ、将来的にはともかく、大卒学士資格は得られない事になっている。
さて、この学校、私たちの世代の頃は、職訓(総合職業訓練所)と呼ばれ、中学卒業後2ヵ年の修業により、工業系各分野の技能を身に付ける専修学校であった。潮見台にあった海員学校、小樽市医師会運営の准看護師養成学校などと同様、中卒後2年で社会に巣立つための教育機関だったわけだ。
現在の海員学校は改称し、高校と同等の教育機関に変換し、准看護師養成学校はいまだ中卒以上という募集要項となっているが、現状の入学者は高卒者で占められ、中卒ではなかなか入学が困難と聞いている。
ここの前身職訓も、昭和30年代入学卒業の電気工事士、建築士、測量士等を多数輩出している。しかし、昭和40年代後半から、中学卒業生の高校入学率が高まったのに伴い、入学者が激減していった。
そんな社会情勢から、ここも、昭和61年(1986年) 北海道職業訓練短期大学校として新規開校し、平成12年(2000年)に前述の現校名に改称され、巷間いわれる大学となっている。
ちなみに数年前私の甥も、ここの電子情報技術科を卒業し、札幌のIT系企業に勤めている。私は、防大や気象大に進んだ高校の同級生がいたので、これらの学生は、国家公務員として月々給料をもらう事を知っていた。この職能大も厚労省所管の大学校なので、給料もらえるのかな、と義弟に聞いたことがあった。
残念ながら、学生に給料は出ないのであるが、私立大学はもちろんの事、道内国立大学の授業料よりも少し安いのだと教えてくれた。札幌に隣接している銭函という立地で、札幌方面からの通学生も多いとの事だ。
(斎藤仁)