アイスクリーム屋さんの鍋焼きうどん

 びゅうっと冷たい風が吹く中、私は家を後にした。友人と出かける約束をしているのだ。
 行く場所は決まっている。小樽の都通りにあるアイスパーラー美園というアイスクリーム屋さんである。

 ちなみに気温は最高気温がマイナス6度と、かなり冷え込んでいる。なぜこんなに寒い日にアイスクリームを食べに行くのだろうと、今この文章を読んでいるあなたは首をかしげているかもしれない。しかし、実は私たちの目的はアイスクリームではない。鍋焼きうどんである。

 なんと美園はアイスクリーム屋さんであるのに鍋焼きうどんもメニューの一つにあるのだ。こんな変わったメニューを置いている店は他に知らない。まだ食べたことのない美園の鍋焼きにわくわくしながら私は小樽駅で友人と合流して都通りへと向かった。

 美園の入り口は小さいが、鍋焼きうどんと書かれた大きな看板があったのですぐに見つけることができた。
 自動扉を抜けて階段を上ると店内は暖かかった。早速定員さんに鍋焼きを注文し、壁のたくさんの張り紙を見ながら友人と話して待つ。ここの鍋焼きうどんには、地元の食材がたくさん使われているらしい。

 小樽の飲食店はこういうように地元のお店同士で連携していることが多いように感じる。そして待つこと十数分、熱々の鍋焼きうどんが運ばれてきた。ふたを開けると、うどんがほとんど見えないくらいいっぱいに具が乗っていた。食べてみると家庭に出てくるような優しい味がした。うどんは柔らかめで、お麩は熱い汁をいっぱい吸っていたのでハフハフしながら食べた。

 鍋焼きうどんを食べ終えると、私たちはパフェを注文した。しょっぱいものを食べると今度は甘いものが食べたくなるのはこの世の真理だ。そしてここはアイスクリーム屋さんである。パフェを注文しない理由なんてなかった。パフェはすぐに運ばれてきた。鍋焼きうどんで温まった体にはアイスクリームの冷たさが心地よかった。
 しかし、店の外に出るとやっぱり寒くて、こんなに寒いのにアイスを食べるなんておかしいよねと笑いながら家に帰った。

(よしの)


※本記事の内容は2018年1月時点の情報に基づいたものです。