銭函天狗山

 10年程前の話しであるが、銭函教室の生徒さんが、レッスン前に天狗山に登ってきたと言いだした。それも、自宅から歩いて登ってきたと言うのだ・・・。

 私は聞き返した。
 「天狗山でしょ、歩いてって、小樽まで歩いたの。それはないでしょ・・・」
 そう言うと、その生徒さんは、
 「先生、何言ってるの、銭天だよ」
 「銭天・・・」
 「そう、銭天、銭函天狗山だよ」

 なんと、銭函の人たちの天狗山は銭函天狗山(銭天)の事だったのだ。その生徒さん、運動のため、夏場は何度もこの銭天登山を敢行するというのだ。往復2時間程度なので、ちょっときつめの散歩に丁度いいし、石狩湾を一望できる眺望で、ストレス発散にも最適なのだと教えてくれた。

 小樽に住んでいる身としては、天狗山というと、スキー場のある天狗山を思い浮かべるのだが、銭函に住んでいる人たちの天狗山は、銭天なのだと、この時に教えてもらった。

 北海道だけでも天狗山と称する山は11峰あり、この界隈だと銭函天狗山(銭天)、定山渓天狗岳(定天)、そして天狗山(小樽)がある。もちろん一番有名なのは、天狗山(小樽)であるのだが、この銭天も山菜の宝庫としてと、昨今ブームの日帰り登山に人気で、手稲、銭函市民に大変親しまれている。

 そして、この銭天は以前、北海道百名山の一つに数えられていたのだと、件の生徒さんは教えてくれたのだ。しかし、今は、残念ながらそれから外れているという。ちなみに天狗山も定天も北海道百名山に今も昔も入った事はない・・・。

 平成29年(2017年)に銭函市民センターで開催された、銭函連合町会創立70周年祝賀会次第の表紙も銭函天狗山の写真だった事を付け加えておく。

(斎藤仁)


※本記事の内容は2018年4月時点の情報に基づいたものです。